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排出事業者の責任とは

□排出事業者の責任とは


 前回のメルマガで、不法投棄の行為者を突き止めるため、色々な証拠物件を
探し、ゴミの山の中を這いずり回るお話をしました。


 今回は、その証拠物件を基に、行為者の責任を追及する舞台裏を眺めてみま
す。


 さて、
 ゴミの山をほじくり返し、運良く色々な証拠物件が見つかったとします。


 複数の書類をつなぎ合せると、何回か名前が挙がる会社や氏名が出てきます


 その会社や個人に、片っ端から電話をかけます!


 「最近、建物の解体工事をしなかったか」
 「それはいつか」
 「誰に解体工事を依頼したのか」

 こういった質問をし、全然関係が無さそうな会社などを除外していきます。


 大体、30の証拠物件が見つかったとしても、運良く廃棄物の排出者にまで
遡ることができるのは、2〜3の書類の切れ端だけです。


 その意味からも、できるだけたくさんの書類を見つけ出すことが必要です。

 そうして、関係がありそうな会社を見つけると、役所に呼び出します。


 ここまでいけば、不法投棄した者が誰なのかすぐに判明します。
 場合によっては、不法投棄した人間が先に捕まり、後から処理を委託した人
まで遡って探す場合もあります。


 いずれにせよ、過去に処理した廃棄物の件で、役所に呼び出されるという場
合には、相当な覚悟をして赴く必要があります。
(もちろん、心当たりが無ければ、それをはっきりと主張するべきです)

 「許可を持っている正規の業者に委託したのに、なんでウチの責任が問われ
るんだ〜!」


 その気持ちもよく分かります。
 しかし、今の法律では、そういう言い訳は通用しません。


 10年前だと、「廃棄物処理法」にそんな規定がありませんでしたので、道
義的な責任は別として、排出事業者に法的な責任を問うことはできませんでし
た。


 しかし、平成12年(2000年)の法改正で、排出事業者に対し行政が措
置命令をすることができるようになりました。


 つまり、手続きの方法をちゃんと守っていたとしても、廃棄物がどこかの現
場で見つかった時点で、排出事業者の責任が問われる時代になったのです。


 どうすれば誠実な業者を見つけることができるのか
 それは後日このメルマガで報告したいと思います。

 行政からゴミの撤去責任を追及する順序としては、
 当然、不法投棄した者に対して最初に責任追及をします。


 ただ、その張本人が逮捕・拘留されたりする場合もありますので、その人が
出てくるのを待っていては、いつまで経ってもゴミは無くなりません。


 そのため、最近増えてきているのが、排出事業者の責任を追及することなの
です。


 前述したように法的な責任もありますし、何より企業への社会的な評価にも
関わってきます。


 だから、排出事業者は泣く泣く撤去費用を負担し、不名誉な新聞報道をされ
るという不利益を甘受せざるを得ません。


 ごく最近でも、
 青森・岩手県境の不法投棄事件や、岐阜市の「善商」事件で、撤去要求に応
じた排出事業者の名前が報じられています。


 少し、事件の性質が違うかもしれませんが、新聞紙面を連日賑わせている、
フェロシルト問題の石原産業も、排出事業者としての責任が問われているわけ
です。


 これから益々、企業の管理体制のあり方が問われる時代になりそうです。


 危機管理といった緊急時のものばかりではなく、平時からの備えが必要です
ね。

 今週も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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