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産廃クライシス

□産廃クライシス

 前回までのメルマガで、


 一般廃棄物の最終処分場の残余年数は、
 あと13.1年しかない 
 とご説明しました。


 「まだ10年以上あるじゃない」


 「あと10年ちょっとしかないの?」


 「まだ」と見るべきか、「あと」と見るべきか


 いずれにせよ、少し時間があるのは事実です。


 ところが、
 一般廃棄物の約8倍が毎年発生する、産業廃棄物の場合は・・・


 最終処分場の残余年数は、たったの「4.5年」しかないのです!


 しかも、これは全国平均の数字なので、
 大都市圏ではもっと逼迫しています。


 首都圏は「1.7年」
 近畿圏は「3.6年」


 では、
 「首都圏の最終処分場は、2007年にはいっぱいになるのか!」


 と言うと、
 不思議なことにそうでもありません。


 数字のマジックというやつですね。


 新しい処分場ができたり、
 廃棄物の発生を抑制したり、
 その他、ここでは書けない方法を用いて・・・・


 なんとか、最終処分場の延命を図っているからです。


 ただし、最終処分場の満杯に向って、
 日々事態が悪化しつつあるのも事実です。


 では、このあたりで、
 最初に発生した、産業廃棄物3億9,300万トンのうち、
 どれくらいの量が最終的に埋め立てられるかを見てみましょう。


 一般廃棄物の時と同様に、
 産業廃棄物が処理される様子をフロー図にまとめると、こうなります。


        産業廃棄物 39,300万トン
                |
                |
                |
      _______|_________   
      ↓         ↓            ↓
   直接埋立する分  中間処理(焼却・    再生利用される分
             破砕他)される分
   2000万トン   29,100万トン     8,200万トン
     (5%)     (74%)          (21%)
      |         |
      |         |
      |         ↓
      |     中間処理後に残るもの
      |      11,900万トン     
      |       (30%)
      |         |
      |         |
      |         |−−−→再生利用される分
      |         |    10,000万トン
      |         |      (25%)
      |         ↓
      |       埋め立てる分
      |       1,900万トン
      |        (5%)
      |         |
      |______|
           |
           |
           ↓
      埋め立てられる分の合計
        4000万トン
         (10%)

 ※各項目は、四捨五入してありますので、収支が合わない場合があります。


 このように、最終的には、最初の発生量の1割程度にまで減量化されます。


 産業廃棄物の場合、
 最終処分するまでに、全体の4割強を再生利用しています。


 まだまだ技術が発展する余地は大いにありますが、
 廃棄物処理の最前線では、結構減量化の努力が進んでいます。


 さて、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
 一般廃棄物の時は、東京ドーム何杯分と表現していたのに、
 産業廃棄物の時は、一貫して重さだけで表現してきました。


 それはなぜか?


 一般廃棄物の場合は、一般家庭から出る生活ゴミなので、
 ある程度までは、ゴミ袋何袋分として換算できます。


 しかし、産業廃棄物の場合は、
 液体から固体まで、ゴミの性状がバラバラなのです。


 具体的には、
 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によって、
 20種類に分類されています。


 産業廃棄物の具体的な分類について知りたい方は、こちらをクリック
      ↓   ↓   ↓   ↓
    http://www.office-onoe.com/000015.html


 液体である「廃酸」と、固体である「がれき類」の量を、
 単純には比較できないですよね。


 無理矢理、同じ単位、例えば体積で表現しようとしても、
 固体の体積を正確に計測することは困難なので、
 統計資料として、不正確になってしまいます。


 例えて言うならば・・・・


 「サザエさん」と「ゴルゴ13」が共演するようなものですね。


 最初から無理です!
 全然成り立ちませんから!


 「ゴルゴさん」 ・・・・・


 「サザエ13」 ・・・・・


    ※サザエさんの年齢が24歳だって知ってました?
    http://www.fujitv.co.jp/b_hp/sazaesan/sazaesan_cast.html


 このため、
 産業廃棄物4000万トンは、東京ドーム何杯分 と
 単純に表現できなかったのです。


 今回は、
 産業廃棄物の処理フロー図の、大まかな流れが分かれば十分です。


 減量化や再生利用の努力にも関わらず、
 毎年かなりの量の埋立処分がされていることは、
 お分かりいただけたと思います。
 
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 次号では、最終処分場の逼迫により、
 どのような問題が起こっているかを見て行きましょう。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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