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建設廃棄物を半減させる方法

□建設廃棄物を半減させる方法


 前回のメルマガで、不法投棄される廃棄物の大部分は、「建設廃棄物だ」と
書きました。


 具体的な数字を再掲すると、

 不法投棄件数 全体894件(内、建設廃棄物は621件で69.5%)
 不法投棄量  全体744,978t(内、建設廃棄物は625,445tで84%)
                         でした。

 しかし、これは全国の統計資料なので、不法投棄の現場を詳細に再現する
数値ではありません。


 実際、元Gメンとしての感覚では、
 不法投棄された廃棄物のほぼ100%は、「建設廃棄物」でした。


 「不法投棄を発見した!」という通報された場所に急行して、
 「あぁ また建廃(ケンパイ)か・・・」と、何回心の中で呟いたことか。


 ただ、幸い建廃の場合は、対処の仕方がある程度決まっていますので、
 行為者への責任の追及などの対処がしやすかったのも事実です。


 前回の編集後記で書いた、「硫酸ピッチ」の場合などは、危険な廃棄物です
ので、建廃以上に、迅速に対処しなければなりませんでした。

 話が少し横にそれましたので、本題に戻します。


 建廃が不法投棄されるのには、


 「日々大量に発生する」
 「容量がかさばる」
 「適切な処理費が支払われないことが多い」 などの要因があります。


 今回は、「日々大量に発生する」という点に焦点を当てたいと思います。


 一口に「建廃」と言いましても、道路工事から民家の解体工事まで、色々な
作業によって廃棄物は発生します。


 しかし、公共工事の場合は、予め処理ルートが発注の段階で決められていま
すので、そこで出た廃棄物が不法投棄されることはほとんどありません。
 適切な処理費が支払われているのも、重要な要因です。


 不法投棄される建廃のほとんどは、民間主体の建築物の解体工事で発生した
廃棄物ばかりです。

(後日このメルマガに書くことがあるかもしれませんが、そういった民家を
 解体して発生した廃棄物は、ある方法を駆使すると、かなりの確率で発注者
 まで遡ることができます。)

 では、建廃が大量に発生する本当の原因は何か?


 やはり、ここに日本独特の要因が存在します。


 それは、建物の寿命が短すぎるということなんです。
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 国土交通省(当時建設省)が平成8年度に調査した、各国の住宅の平均寿命
は、

 アメリカ 44年
 イギリス 75年
 日本   26年!!  だったんです。


 26年しか住宅の寿命がないとすると・・・・

 折角大枚をはたいて住宅を購入したのに、
 ほとんどの人の場合、「終の棲家」にはなり得ないんですね。

 35歳で頑張って30年の住宅ローンを組んだとしても、
 それを完済する頃には、また建替えなくてはならないんです。


 26年だと、一世代ももたないんですね・・・


 イギリスの75年とは言いませんが、
 せめてアメリカ並みの45年、
 理想としては50年程度はもって欲しいものです。


 日本の住宅が、ここまで短命なのは色々な要因があります。

・戦後の復興期に、質より量を重視して、とにかく家を建てる必要があった。
・日本独特の、四季を通じて雨が多いという気候風土
・中古住宅が流通する機会が少ないこと    などなど


 これらの要因があるにせよ、建築物の寿命が2倍に延びるだけで、
 単純に計算しても、解体工事で発生する廃棄物は2分の1以下になります
から、廃棄物の発生抑制に大きく寄与することになります。


 廃棄物云々の話は抜きにしても、
 住宅の寿命が2倍になれば、その家に住む人全員が幸せです。


 この話は、一戸建てだけではなく、マンションにもあてはまる話です。


 あと数年ほどで、築30年以上のマンションが、一斉に建替えラッシュを
迎えます。
 それらの建築物を解体する際には、最近話題になっている、アスベストの
飛散の問題もあります。


 社会資本を無駄にしないためにも、
 建築物の寿命を延ばす必要がありますね。

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