◆不法投棄現場の最前線で
□不法投棄現場の最前線で
前回のメルマガでは、
廃棄物に携わる人間は、「マメな性格」じゃないと務まらない、と書きまし
た。
これは、規制する側の人間だけの話ではなく、規制を守る立場の人にとって
もあてはまります。
廃棄物に関する問題を引き起こす人と話をしてみると、ほとんどの場合は、
「マメじゃない性格の人」ばかりでした。
考えてみれば、「マメな性格」なら、ゴミを溜め込んだりしませんし、丼勘
定で廃棄物の処理を引き受けたりもしません。
考えてみれば当たり前の話ですね(笑)。
そのため、不法投棄現場で行為者を探し出す際には、行為者の「マメでない
性格」を徹底的に突きます。
その攻撃方法
それが今回の本題です。
不法投棄をするような人のうち、99.9%の人はマメな性格ではありませ
ん。
ですから、その捨て方も、たまに豪快なやり方でなさっています。
山道の斜面からそのまま下の谷川へゴミを全部投棄、なんて日常茶飯事
です。
しかし、「天網恢恢(てんもうかいかい)疎にして洩らさず」で、その豪快
な性格が時として災いします。
ゴミを捨てる = 証拠も残す ということなので、
自分や依頼者の存在を示す証拠を大量に残してしまうからです。
不法投棄や産廃の大量保管などは、元々が後ろめたい行為ですので、いかに
豪快な性格の持ち主と言えど、時間との戦いになります。
彼らにとっては、「サッと来て、サッと捨てる」のが理想なのです。
だから、一つ一つの廃棄物を、
「これは身元が割れる可能性があるから捨てないでおこう」
「うん! これなら大丈夫だ!」 などと、
取捨選別する余裕なんてありません。
Gメンはそこを突くわけです!
行為者、あるいはその人に依頼した者の存在を示す証拠は無いか
これを現場で必死に探します。
具体的には、「書類」ですね。
字が読み取れる書類、特に「契約書」や「発注書」なんかが10点もあれば
・ 行為者や依頼者の住んでいる地域
・ 行為者か依頼者の氏名
・ 行為者の職業
・ 依頼者の連絡先(電話番号や住所)
こういった情報が手に入ります。
もちろん、書類以外にも、何かの包装紙や、製品を入れていた容器なども、
重要な補強資料になります。
例えば、「(プロ仕様)スーパー○×」といった、建材の包装容器が大量に
出てきたとすると、
「そこに捨てられた廃棄物は、解体工事で発生したものが多い」と目星を付
けることができます。
不法投棄の証拠物件についてあまり書きすぎると、それを悪用する人が出な
いとも限りませんので、これくらいにしておきます。
このように、Gメンが現場でまずすべきことは、できるだけ多くの証拠を保
全することなのです。
証拠資料が多いほど、行為者へ遡っていくことが容易になるからです。
だから、Gメンは必死でゴミの山をほじくり返します。
それはもう、地道、かつ気が滅入る作業です。
なんと言っても、臭いゴミの山を這いずり回る訳ですから(笑)。
そうして苦労して集めた証拠を元に、いよいよ行為者や依頼者を追及して
いきます。
次回は、その追及方法を舞台裏から眺めてみたいと思います。
今週も最後までお読みいただき、ありがとうございました!