メルマガバックナンバー > 産業廃棄物税導入の背景

産業廃棄物税導入の背景

 前回のメルマガでは、産廃税の導入状況を見てみました。


         地域ごとの産廃税導入状況

 北海道  未導入
 東北   青森、岩手、宮城、秋田、福島  (山形以外)
 関東   未導入
 北陸   新潟
 東海   愛知、三重
 近畿   滋賀、京都、奈良
 中国   岡山、広島、鳥取、島根、山口  (地域内100%)
 四国   未導入
 九州   福岡、佐賀、長崎、大分、鹿児島、熊本、宮崎、沖縄
     (地域内100%)

 今回は、産廃税導入の背景をもう少し深く掘り下げたいと思います。


 産廃税は、「法定外目的税」と言って、全て地方税になります。
 国ではなく、各都道府県に入る税金ということですね。


 「目的税」とは、産廃の不法投棄対策やリサイクル技術の研究といった、
特定の目的のために集められる税金ということです。


 目的を定めず、都道府県の一般的な収入になる税金を、「普通税」と言いま
す。


 普通税は、都道府県が使途を自由に決めることができますが、
 目的税は、特定の目的のためにしか使えません。


 どの自治体も、歳入と歳出のバランスが取れていないので、少しでも多くの
税金を欲しがっています。


 本来なら、使途が定められていない「普通税」を創設したいのですが、課税
の公平性という問題があるので、産廃税は「法定外目的税」として、特定の
施策のためだけに集められています。


 と、ここまでは行政の建前です(笑)。


 不法投棄対策と一口に言いますが、その財源となる産廃税を支払うのは、
排出事業者や産廃処理業者になります。


 ということは、


 一部の不心得者が捨てたゴミの処理を、真面目な業者が支払う税金で肩代わ
りしてやることに他なりません。


 つまり、税の負担者(真面目な事業者)と、それによって利益を受ける人(
不心得者や一般住民)が一致しないと言う、課税の公平性に問題が生じていま
す。


 言い換えると、産廃税を支払っている事業者は、自分たち以外の人のために
使われる税金を、せっせと支払っているわけですね。


 まあ、産廃を大量に発生させているのは、その真面目な事業者に他ならない
わけですから、一部の産廃が不法投棄された責任を追及されても仕方がない面
もあります。


 だから、誰も大きな声では反論しません。
 皆、脛に傷を持っているんですね。


 上に、行政は税金を欲しがっていると書きましたが、産廃税は「目的税」で
ある以上、なんにでも使える税金ではありませんので、税収を確保したいがた
めに、産廃税を導入しているわけではありません。

 産廃税導入の一番の目的

 それは・・・

 次回に(笑)。

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
(マガジンID:0000168298)
メールアドレス:  Powered by