◆産業廃棄物税導入の本当の目的
最近、小難しい話が続いていますので、今日は結論から書きます(笑)。
産業廃棄物税導入の本当の目的
それは、
「産業廃棄物の発生を抑制する」という姿勢を示すことにあります。
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注意が必要なのは
「産廃を抑制するため」ではなく
「産廃を抑制しているという姿勢を示すため」であることです。
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なぜ こんな辛辣なことを書くのか?
2つ前のメルマガで少し書きましたが、産廃税を導入するまでの発想が、
非常に短絡的だからです。
(該当部分を抜粋 ここから)
「取り易い所から取れ!」という発想に基づいています。
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産廃はケシカランものだから、減らさねばならん!
↓
だから、課税してしまえ!
課税すれば、廃棄物の抑制も進むだろう
(ここまで)
確かに、短期的にはそういった効果があるでしょう。
しかし、産廃税が制度として定着してくると、重大なモラルハザードの原因
となる可能性もあります。
すなわち、
「税金を払ってるんだから、いっぱい産廃を出したっていいだろう!」と
なりかねないからです。
それに、産廃税を導入したからといって、産廃の排出量が減るかどうかもか
なり怪しいものがあります。
ここで、地域ごとの産廃税導入状況を、再び掲載します。
北海道 未導入
東北 青森、岩手、宮城、秋田、福島 (山形以外)
関東 未導入
北陸 新潟
東海 愛知、三重
近畿 滋賀、京都、奈良
中国 岡山、広島、鳥取、島根、山口 (地域内100%)
四国 未導入
九州 福岡、佐賀、長崎、大分、鹿児島、熊本、宮崎、沖縄
(地域内100%)
近畿地方では、滋賀・京都・奈良が産廃税を導入しています。
ここで例として、京都の排出事業者が、産廃税への対応を考える場合を想定
します。
その事業者が、産廃税への対処としてとれる行動は、次の3つがあります。
1.諦めて産廃税を払い続ける
2.産廃税の負担が重荷なので、その分の廃棄物を減量する
3.産廃税を支払わなくてもよい地域に、産廃を持ち込む
産廃税を導入した行政としては、排出事業者が「2」の自助努力をしてくれ
ることを期待しています。
しかし、実際には、「3」の税負担をしなくてもよい地域への流出、という
流れが一番多いです。
だからこそ、中国・九州は、広域的に一丸となって産廃税を導入したわけで
すね。
「鉄のカーテン」ならぬ「税のカーテン」です。
このように、産廃税は地域外への産廃の流出を促進する可能性があるので、
私は勝手に産廃税のことを
「産廃あっち行け税」と呼んでいます(笑)。
「鬼は外。福は内」の考え方ですね。
また、こと廃棄物の問題に関しては、「性善説」ではなく、「性悪説」で考
える必要があります。
上に書いたシナリオは性善説に基づいています。
性悪説に基づくと、こうなります。
3.産廃税を払うのは嫌なので、とにかく安く処理してくれるところに頼もう
↓
(委託された無法者) 遠いところに持っていくと、燃料代がバカにならん
時間もかかるしなあ
え〜い 面倒だ。山に捨ててしまおう!
そうすりゃ 自分の懐に丸々金が残るしな♪
こうなると、産廃税を導入したことで、かえって不法投棄を増やしてしまう
ことになります。
まさに、本末転倒ですね。
最悪なことに、地域全体で産廃税を導入したとしても、このシナリオは変わ
りません。
むしろ、どこに持ち込んでも税金を取られるので、不法投棄をより助長しか
ねません。
産廃不法投棄量が日本一だった千葉県は、このシナリオの恐ろしさが分かっ
ているので、産廃税を導入しない
↑ ↑ ↑
これは私の勝手な推測です(笑)。
今回は、世の安易な風潮に異議を唱える、辛口メルマガになりました。
次回は、「じゃあ、どうするんだよ」というご批判に答える、甘口メルマガ
にいたします(笑)。