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捨てないという英断

 1月4日の日本経済新聞夕刊の報道によると、


・東本願寺(京都市下京区)の御影堂の修復工事で、12万枚もの再使用でき
ない屋根瓦が発生したそうです。


・通常の中間処理(破砕)⇒最終処分(埋立)という方法で、瓦くずを処理す
ると、2〜3千万円の費用で処理できてしまうそうですが、


・「苦労してお堂を再建した先人の遺産がごみになるのはもったいない」との
声が門徒から上がったことを受け、
 1億円という巨費を投じ、INAX(愛知県常滑市)に再資源化を依頼した
そうです。


・このほど、同社による再資源化の目途が立ち、
 屋根瓦は、御影堂の床下材や駐車場の舗装材に再利用されることとなりまし
た。

 新年早々、大変素晴らしいニュースでした。


 まず、
 余分な費用が発生するにもかかわらず、屋根瓦を再利用することにこだわっ
た、東本願寺及びその門徒衆の方々の心意気が素晴らしいです。
 「ごみ」ではなく、「先人の遺産」であるという視点が光っています。

 次に現実的な側面として、
 瓦くずのリサイクルを進展させる効果を挙げることができます。


 H15年度の環境省調査によると、
 ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずの最終処分(埋立される)率
は38%と、かなり高い数字になっています。


 この数字の意味するところは、
 ガラスくずや瓦くずが「100」出たとすると、「38」がそのまま地中に
埋められてしまっているということです。


 この「38」が、最終処分場の残容量の減少を加速させることは言うまでも
ありません。


 東本願寺の御影堂の瓦くずは全て再利用されましたので、最終処分場の延命
に寄与したことになります。


 ※ちなみに、最終処分場の残余年数は、4.5年しかないと言われています。
  最終処分場が満杯になったら・・・・
  日本中が産廃で溢れかえることになりますね。

 と、ここまでは、ブログ http://plaza.rakuten.co.jp/onoemasanori/ に
書いた内容と同様です。


 メルマガ読者の皆様には、もう一つのスペシャルな論点をお示ししたいと思
います(笑)。


 それはこんな論点です。


 ほう そうか。「資源の再利用」と言えば、産廃を埋めても問題ないのか。


 こういうことを考える人がいます。


 もちろん、東本願寺がした瓦くずの再利用は、そんな脱法的なものではな
く、社会にドンドン広まっていって欲しい正当な行動です。


 問題は、法律の網の目をくぐろうとする人が必ずいるということですね。


 次回は、そのお話をしたいと思います。

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