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リサイクルの名の下に

 前回のメルマガでは、「京都の東本願寺が屋根瓦を舗装材にリサイクルし
た」話をご紹介しました。


 前回の繰り返しになりますが、これは大変素晴らしいニュースです。
 おそらく、今回の東本願寺の心意気が、今までリサイクルが進みにくかった
分野に対し、更なるリサイクルを促すきっかけになると思われます。


 そのことを前提に、屋根瓦がリサイクルされるまでの流れを、法的に検証し
てみましょう。


 前回のメルマガのおさらいです。


・お堂の修復工事で、12万枚の不要な瓦が発生


・通常のルートで産廃として処理すると、約3000万円で処理できた


・しかし、「先人の遺産」を無駄に捨ててしまうことを良しとせず、
 1億円という巨費を投じて、INAXに再資源化を依頼


・INAXが再資源化の方法を確立


・屋根瓦は、御影堂の床下材や駐車場の舗装材に再利用されることに
          

 という流れでした。


 このメルマガの勉強熱心な読者の方でしたら、~~~~部の記載に疑問を感じた
方がおられるかもしれません。

 床下材や舗装材に再利用するってことは、「埋立て」処理をするってこと
 じゃないのか?

 そうですね。
 ここに注目して、今回の流れを見直すと、「廃棄物処理法」の問題点がよく
見えてきます。


 現在の廃棄物処理法では、廃棄物を埋立て処分する際には、都道府県知事の
許可が必要です(法第15条)。
 誰もが勝手にゴミを埋めだすと、水質汚染・土壌汚染を引き起こしてしまう
からですね。

 しかし、瓦くずを床下材に使うってことは、土の中に埋めることだろ

 そのとおりです。
 しかし、今回の瓦くずのリサイクルには、法的な問題点がありません。


 なぜか、


 東本願寺の瓦くずは、産業廃棄物ではないからです。

 「ハァ〜 何を言ってるんですか あなた?」という声が聞こえてきそうで
す(笑)。
 順を追ってご説明いたします。


 廃棄物処理法第2条には、こう書いてあります。

 「『廃棄物』とは、・・・不要物であつて、・・・」

 つまり、不要だから、「廃棄物」と呼ぶんですね。
 当たり前の話ですけどね。


 今回の瓦くずは、「廃棄物」としてではなく、床下材や舗装材の「原材料」
として、加工されていることになります。           


 だから、「廃棄するしかない」という、不要物じゃあないんですね。


 ある悪者
「フッフッフ それはイイことを聞いた。
 埋め戻し材として使っていることにして、産廃をたくさん受け入れよう」


 待ちなさい!! それはアウトです!


 悪者さん さっき私は、
 廃棄物にならないのは、「原材料として加工した場合」だと言ったでしょう

 あなたは、産廃として処分を受託しようとしているじゃないですか!
 そうなると、当然「産業廃棄物処理業」や、「産業廃棄物処理施設(最終処
分場)」の許可が必要になりますよ。

 ある悪者
「そうだったのか・・・グムムム 出直して来まーす」


 メデタシ メデタシ


 となって欲しいものですが、悪者は色んな抜け道を考えます。
 中には、それで行政や警察を出し抜くことに成功する場合もあります。


 それはどんな方法か?


 メルマガ読者の方であっても、それを教えるわけにはいきません(笑)。
 でも、行政や警察になら喜んでレクチャーいたします。
 それくらい、即効性のある手法です。
 この方法をかまされた時には、私も往生しました・・・

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元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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