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民の力だけで全てが解決するのか?

□ 民の力だけで全てが解決するのか?


 今、政府内で、
 産業廃棄物と一般廃棄物の区分の見直し作業が進められているそうです。


 日本経済新聞
 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060121AT1G2100E21012006.html


 その理由として、


「一般廃棄物は処理責任者が市町村だが、再利用のノウハウが乏しい
 場合が多く、リサイクルが進まない」


「産業廃棄物の対象拡大で再利用事業者の参入を促し、ごみの減量や
 資源の有効活用につなげる。」  ことを目的としているとのことです。


 廃棄物処理現状の問題点は、政府が認識しているとおりです。


 「なんで区分を見直す必要があるの?」と疑問に思われた方は、上記の
バックナンバーをご覧いただき、産廃(産業廃棄物)と一廃(一般廃棄物)
の区分の仕方について、ご理解いただければと思います。

 http://www.office-onoe.com/magazine/2005/11/post.html

 産廃と一廃を区別することには、次のような意味があります。


 例えば、
 市町村の焼却施設に、家屋の解体工事で発生した廃棄物を持ち込もうとした
人がいたとします。 


 こういった場合、市町村の担当者は
 「それは産業廃棄物なので、ウチ(市町村)では引き取れません!」と言う
ことができます。
 市町村は、その市町村内で発生した一般廃棄物の処理責任があるだけで、産
業廃棄物まで受け入れる義務は無いからですね。

 そして、ここから先は少し不思議な話になるのですが
 同じ木くずであっても、産業廃棄物になる時と、一般廃棄物になる時の両方
があります。


 それはなぜかと言いますと、法律で「(産廃の)木くずとは何か?」を定義
しているからです。

※廃棄物処理法第2条第4項、同法施行令第2条、
 産業廃棄物の「木くず」とは、「建設業、木材又は木製品製造業、パルプ製
造業及び輸入木材卸売業で発生した廃棄物に限る」 としています。
 ※PCBが染み込んだ木くずは、発生した業種に関係なく産廃になります。


 つまり、「建設業」等の特定の業種から発生した木くずのみが産廃となり、
 それ以外の木くず、例えば、造園業者さんが剪定した枝などは、産廃ではな
く、一般廃棄物になります。


 物は同じ「木」なんですけどね。
 発生源の業種によって、処理する責任者が変わってくるのです。


 産廃の場合は、廃棄物を発生させた事業者
 一廃の場合は、市町村  となります。

 造園業者さんが市町村の焼却施設に持ち込んだ剪定くずは・・・
 リサイクルされることなく、焼却処分される場合がほとんどです。
 (一部の自治体は、剪定くずのリサイクルを推進しています)


 これではもったいない!
 法律上は一廃になるとは言え、業者のゴミ(木くず)まで燃やしてやるのは
納得イカン


 そうだ!
 産廃業者ならリサイクル技術を持っているだろうから、法律を改正して、
民間業者にドンドン処理させればイイのだ!


 というのが、政府及び市町村
 つまり、役人側の発想なのではないでしょうか。


 発想の仕方が気に入りませんが(笑)、
 個人的には、政府が進めようとしている方向性は正しいと思います。
 しかし、安易な考えで一時に制度の中身を入れ替えてしまうと、大変悲惨な
状況になってしまいます。


 平成10年に建築確認の権限を民間機関に開放した結果、どうなりましたで
しょうか?


 「規制緩和」という方向性は良かったのですが、チェック機能が働かないと
必ず制度の穴につけこむ輩が現れます。


 それに、廃棄物の場合は、日常生活に密着しているものですから、チェック
をより厳重に行う必要があります。


 続きは次回に

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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