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優良事業者評価制度の問題点

□ 優良事業者評価制度の問題点


 2回連続で、「優良事業者評価制度」のお話をしてきました。
 産業廃棄物に関係が無い読者様にとっては、実感の湧きにくい話だったかも
しれません。
 今回のメルマガで、「優良事業者評価制度」に関する話は一段落しますので
あと少しのおつきあいのほどを、よろしくお願いします。


 前回までのメルマガでは、
 「優良事業者評価制度」にはメリットが少ないけれども、積極的に活用しま
しょう!
 というお話をしてきました。


 しかしながら、この制度には、色々な問題点があるのも事実です。
 その問題とは、大きく分けると2つになります。


 まず、ネーミングのまずさ(笑)
 「優良」又は「優良性」の意味がよく分かりません。


 この制度に則り、「優良である」との評価を受けたとしても、
 それはただ単に、一定の情報公開の基準を満たしているというだけであり、
会社の優良性を担保するものではありません。


 それなのに、「この会社は優良ですよ!」と公的に喧伝する・・・・


 なるほど、情報公開の一部分においては、確かに優良な会社でしょう。
 しかし、だからと言って、「その会社は社会的にも信用できる会社である」
と判断してしまうのは早計でしょう。


 現段階では、「優良事業者」の位置づけとしては、
 「インターネットで自社の情報を適切に公開している」
 というだけに過ぎません。
 経営方針が優良であるかどうかは、問題になっていないのです。


 前回のメルマガで、
 「積極的にこの制度を活用していきましょう」と申し上げたのは、

 「まず、情報公開から始めましょう」という趣旨なのでした。


 産廃の処理現場においては、
「優良事業者に委託をすれば、万が一不法投棄などされたとしても、俺達の
責任は無くなるんだ」
 という、誤解が広まっています。


 上述したように、それはただの誤解であり、契約の締結やマニフェストの
交付を怠れば、委託者自身の責任を問われることに違いはありません。


 環境省が出している制度の解説書にも、
 http://www.env.go.jp/recycle/report/h17-01.pdf

『本評価制度は、あくまでも評価基準への適合性を評価するものであり、処理
業者が不法行為や不適正処理を行わないことを都道府県等が保証するものでは
ありません。
 したがって、評価基準適合業者を選択することで排出事業者としての責任や
注意義務が免除されるものではなく、排出事業者はその責任を全うするため、
自らの判断で処理業者の選定を行うことが必要となります。』

 と明記されています。


 こうして問題点を眺めてみると、やはり「優良」という言葉に、かなりの
語弊があるような気が・・・(笑)

 2つめの問題点としては、
 この制度の目指す目標が不明確 ということがあります。


 なるほど。先にご紹介した解説書には、この制度を導入した目的を色々と書
いてあります。


 ・業者選定の判断基準の一つとする
 ・優良事業者になるというインセンティブがはたらく

 などと書かれています。


 しかし、現段階においては、優良と評価を受けた後の、減税措置などと
いった、直接的なメリットが無い以上、処理業界がどこまでインセンティブと
思うのか怪しいものがあります。


 おそらく、今の制度のままでは、会社の信用力を高めることに熱心な
優良会社しか参入してこないと思います。


 優等生はより強く!
 そうではない人はドンドン弱く・・・

 といった流れになるのかもしれません。


 こうして考えると、この制度
 処理業界の底上げを図ると言うよりは、
 「優良でない」会社の力をそぎ落とすことが目的なのかも?


 それはそれで 一つの見識なんですが、なんだか発想が小さいんですよねえ


 今ある大木を残すだけではなく、
 土に色々な種を蒔いて、水をやり
 色々な花を咲かせる


 その方が、社会の多様性にもつながります。


 ビシッと評価して、
 違反があれば、バシッと取消

 その代わり、優良事業者である間は減税措置 など
 
 メリットとインセンティブを明確にした方が、処理業界の底上げにもなるん
ですけどね。

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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