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日本は大丈夫か!?(その2)

□ 日本は大丈夫か!?(その2)


 前回のメルマガでは、「世界中の焼却炉の約7割が、日本に集中している」
とお話しました。


 そこまで焼却炉が増えた理由として、
「日本は国土が狭いので、ゴミは燃やさないと全部を埋められない」
「日本は湿潤な気候なので、焼却しないと不衛生だ」 とよく言われます。


 実際のところ、確かに日本の国土は狭く、埋立てる場所が少ないです。
 それに、夏の暑い時期などは、物が腐りやすくなります。


 では、日本では昔から焼却処理しかしていなかったのでしょうか?


 そんなことはないですね。


 「江戸時代とは、人口が違うんだぜ」という意見があると思います。


 しかしながら、昭和30年代までは、一般家庭からは、ほとんどゴミが出な
かったそうです。

 総務省の統計資料によると、日本の人口は、昭和30年代に既に9000万
人に達していました。
 http://www.stat.go.jp/data/nihon/02.htm


 日本で焼却処分がもてはやされるようになったのは、昭和40年代からです。
 ほんの30年ほどの話なんですね。


 なぜ、その時から、爆発的に焼却施設が増えていったのか?


 詳細な理由は分かりませんが、かなり政治的・国家的な意図があったものと
思われます。
(外国政府の圧力、焼却炉メーカーの振興、「夢の島」問題 etc)


 このメルマガで、その陰謀?の背後を探ってみても、問題の解決にはなりま
せんので、国家陰謀説を展開するつもりはありません(笑)。

 この問題の背景について興味のある方は、
 「ごみを燃やす社会」 著者 山本節子 をご覧ください。
 http://amazon.co.jp/o/ASIN/4806712930/sangyohaikibu-22/ref=nosim


 焼却炉がここまで普及した理由の一つに、前回のメルマガで少し解説した、
廃棄物処理法の解釈が、重要な役割を果たしたことは間違いありません。


 廃棄物処理法第2条で、
 「廃棄物とは、・・・・固形状又は液状のものをいう」のくだりですね。


 ゴミを燃やすと、灰だけが残る・・・

     ↓

 見た目の量が減ったじゃん!!

     ↓

 焼却はイイことだ!!


 と いう解釈が定着しました。


 でも、本当にその解釈は正しいのでしょうか??

 確かに、肉眼で見える範囲ならそうですね・・・・


 しかし、ゴミの組成物質レベルで考えるとどうでしょう?


 ここで、有名な「質量保存の法則」が出てきます(笑)。


「質量保存の法則」
 化学反応前後で関与する元素の種類とおのおのの量は変わらない


 これは常識ですよね。
 アンパンを3kg食べたら、体重が3kg増えます。


「アンパンを一つ一つペッタンコにして、1kg分の大きさに縮めたから、
1kgしか増えないよ!」


 そんなこと ありえません!!
 アンパンを潰したって、3kgは3kgです。


 ところが、日本の場合、
 科学者や政策立案者といった相当高度な教育を受けたインテリでも、


 「アンパンをペチャンコにしたから、1kgしか増えないもんね!」と、
主張し続けてきました(汗)


 「アンパン」を「廃棄物」、「ペチャンコ」を「焼却処分」に置き換えて
考えると分かりやすいです。


 インテリが、質量保存の法則を知らないとは思えませんので、このような
解釈に落ち着いた理由は、次の2つのどちらかではないでしょうか?


 焼却しても、物の質量が変化しないことは当然知っている。

1.でも、気体になれば、大気中に広く拡散するので、問題は無いと思った。
2.でも、何が何でも燃やさなくてはならないから、知らんフリ


 日本人の「おおらか」という特質を考えると、
 どうも、「1」の大気中に拡散するから、問題アリマセーン という可能性
が高い気がします(笑)。


 見た目が減るんだから、イイジャナーイ というわけですね。


 
 見た目が減るだけで、本当に良いのか?


 続きは次回に。

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