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統計資料から読み解く産廃処理業界の実情(その2)

□ 統計資料から読み解く産廃処理業界の実情(その2)


 前回のメルマガと同様、下記の資料を元にお話を進めます。


 平成15年度
 産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況
 http://www.env.go.jp/recycle/waste/kyoninka/kyoninka_h15.pdf


 前回のメルマガでは、産業廃棄物処理施設の設置数から、日本の産廃処理の
トレンドを眺めてみました。


 今回は、産業廃棄物を処理する業界が置かれている状況について、ご説明
いたします。


 上記の資料の5P、「3.行政処分等について」をご覧ください。
 この資料には、産業廃棄物処理業の許可を持つ事業者が受けた、行政処分
件数が記載されています。


 行政処分ってなに?


 行政(都道府県・政令市)から、産業廃棄物処理業の許可を取消されたり、
事業の停止命令を受けたりすることです。


 もっと分かり易く言うと、
 運転免許を思い浮かべると良いです。
 ひき逃げや、飲酒運転などの重大な違反をすると、運転免許を取消されたり
免許停止になったりしますよね。


 それと同じ話です。


 それでは、本題に戻ります。
 5Pの「表3−1 行政処分等の件数(平成15年度)」をご覧いただくと


 「法第14条の3による処分」の欄で、取消し件数が607件と、前年度の
312件からほぼ倍増しています。


 これは何故でしょうか?
 平成15年度になって、急に悪徳業者が増えたからでしょうか!?(汗)


 実は、そんな恐ろしい理由ではありません(笑)。
 結論から先に申し上げると、法改正によって、産業廃棄物処理業の許可を
取り巻く環境が、ガラッと変わってしまったからです。


 言うなれば、
 時速10kmのスピード違反 ⇒ 即、免許取消し くらいの厳しい環境に
なったということなのです。


 その状況を、具体的にご説明いたします。


 平成15年12月1日から、
 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第14条の3が 改正されました。


(改正前) 第14条の3
 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の
各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消し、又は期間を定めて
その事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。


(改正後) 第14条の3の2
 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の
各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。
                     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ご覧いただくと分かるように、
 改正前は、「取り消し・・・・・できる」だったものが、
 改正後は、「取り消さなければならない」となったのです。


 つまり、行政庁にとって、欠格要件に該当する業者の許可を取り消すこと
が、法律上の義務になったのです。


 裏を返せば、法律が改正されるまでは、なあなあで運用していた部分が
多かったということですね(汗)


 この法律改正により、産業廃棄物処理業の許可取消件数が、前年度より倍増
してしまったわけです。


 法改正後の施行が、平成15年12月1日からでしたので、義務付けが影響
したのは、平成16年3月までの4ヶ月間しかなかったにもかかわらず、この
件数です!
 おそらく、平成16年度以降も、許可取消し件数は、高い数値のまま推移し
ていることでしょう。


 しかし・・・
 この法改正により、産業廃棄物処理業界をめぐる経営環境は、一段と厳しく
なりました。
 ビジネスモデルとしては、日本でも屈指の、規制が厳しい業界と言えるで
しょう。


 なにせ、役員が罰金に処せられただけでも、会社の許可全部が取消される
事態が激増していますので。


 「そんなの厳しすぎるぞ!憲法違反だ!」と 抗議する法律家もいます。


 理屈としては確かにそうですが、法律の規定に難癖をつける前に、
 うっかり違法行為をしないよう、まず、自社の足元を固めることが先決です


 どうしたら良いか分からない?


 有料ですが、当事務所では、あなたの会社の足元を固めるお手伝いができ
ます(笑)。


 え お金を掛けるのはちょっと?


 では、毎週このメルマガを読んでください。
 時間は掛かりますが、必ず参考になる部分があります!


 この勢いのまま、次回に突入します!!

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