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監視カメラの功罪(その2)

□ 監視カメラの功罪(その2)


 前回のメルマガでは、民間部門、公共部門のそれぞれで、監視カメラの導入
が進みつつある と書きました。


 そして、
 民間部門の、特に商店街のような、小規模のエリアにおいては、一定の犯罪
抑止効果があるようだ と書きました。


 では、公共部門の監視カメラはどうでしょうか?


 実は・・・・


 ほとんど効果を発揮していません!


 一言で公共部門と言っても、道路・河川・港湾・庁舎と色々な場所に置かれ
ますので、今回は、廃棄物の不法投棄を防止?するための監視カメラに限定し
てお話いたします。


 まず、どういった目的で監視カメラの導入が進んでいるのでしょうか?


 表向きの理由は、
 「巧妙化する不法投棄に対処するため」
 「監視を強めることにより、不法投棄を未然に防止する」 などと言われて
います。


 でも、それは建前です(汗)。


 だって、
・監視カメラを置いたって、巧妙化する不法投棄には全く対処できません
・監視カメラを置いていたとしても、それがそこにあることを知らなければ、
 今までどおり不法投棄しちゃいます。


 ちょっと考えれば、誰でも分かる結論です。


 それでも、
 監視 ⇒ 罰則怖い ⇒ 不法投棄を自粛するに違いない と論理が飛躍し
 「ディベートの鬼」も真っ青の三段論法が成立してしまいます(滝汗)。


 挙句の果てには、二段目の論理が成り立つかどうかを検討せずに、
 監視カメラの設置 ⇒ 不法投棄なんてされるわけがない という
 監視カメラが、「魔除け」のような存在に昇格してしまいます。


 ここまで来ると、もうオカルトです(笑)。

 では、なぜ監視カメラの導入を進めているのか?


 もっとも大きな理由は、上で述べたような、監視カメラへの過大な期待です。


 その次に重要な理由


 ズバリ 予算の確保に役立つからです!


 役所以外の人には、受け入れることができない話かもしれませんが、
 役所の論理では、予算を1円も残さず使い切るのが「善」なのです。


 無駄を省いて、次年度に留保しておこうという発想がありません。
 毎年毎年、黙っていても税金が入ってくるからですね。


 下手に予算を余らせようものなら、
「え 予算が多すぎた? じゃあ 来年度から、あんたの部署の予算を
 減らすね」 と言われてしまうのです。


 予算をめぐる裏話はこれくらいにして、
 なぜ監視カメラを設置することが、予算の確保につながるのか?


 まず、監視カメラのランニングコストが必要です。
 そして、メンテナンス費用も必要です。
 これらは、容易に試算することができますので、すんなり予算化できます。


 予算化=予算の増額 という図式ですね。


 一方、人件費に限っては、極力抑えようというのが、お役所のトレンドです。
 給与や賞与を削減すると、労働組合の反発が大きくなるので、人件費で
もっとも削減されやすいのは、残業代と旅費です。


 監視カメラは、残業代と旅費無しで、24時間年中無休で稼動します。
 効果があるかどうかは別として・・・・


 「監視カメラを導入すると、人件費がこれだけ削減できます!」


 これは、非常に大きなポイントになります。
 担当部署は鼻高々です。

 今回は、公共部門で監視カメラの導入が進む背景をご説明いたしました。


 次回は、監視カメラの本質に踏み込みます!

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