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こんなものはいらない(行政書士編)

□ こんなものはいらない(行政書士編)


 こんなことを書くと、行政書士会から爪弾きにされそうです(汗)。
 でも 書きます!


 その前に、一応断っておきますが
 私も行政書士です。


 そのため、今回のメルマガでは、行政書士制度そのものを否定する意図は
なく、行政書士の関わり方から見た、「プロセスカット」の悪例を批判する
ことが主な目的になります。


 そう
 「プロセスカット」の連載はまだ続いていたのです(笑)。


 では、今回のメルマガの本題に入ります。


 私は去年の6月に開業しましたので、今日で本当の開業1周年になります。
 今 そのことに気がつきました(笑)。


 特化して業務をやっていますと、たった1年でも、いろいろな相談を受けま
す。


 「(中間処理業などの)許可を取りたいんです」という相談者の方に対して、
私は常にこう質問します。

「分かりました。当方も全力を尽くしてサポートいたします。
 その前に、ちょっとお聞きしたいのですが、
 事業をやる場所の近隣の住民の方と、良好な関係を築いておられますか?」


 この質問に対して、


 「ウ〜ン あまり良い関係には無いです・・・・」と、正直に告白する方に
は、私から次のように確認します。


 「近隣の方と良好な関係が保てていない場合は、許可を取得するまで、相当
の長い時間を覚悟しなければなりませんが、それでも大丈夫ですか?」

 なぜ、あえて私はこのような質問をするのか?


 それは、相談者の覚悟を確認する必要があるからです。


 一昔前までは、廃棄物処理施設を設置する際、行政への許可申請の他に、
近隣の自治会長などから同意書をもらうことが必要でした。


 一見、これは周辺住民の方の意向に配慮した手続きのように感じられます。


 しかし、「自治会長」という個人が、自治会の意思を代表できるのでしょう
か?


 また、同意書という書類さえ整っていれば良しとする方針では、
 同意書の取得のために、裏金を渡す業者が出てきました。


 このように不透明な同意書の取得によって、最悪の場合、
 自治会という地域のコミュニティを二分する事態になってしまいます。
 ある所では、同意書に判をついた自治会長さんが自殺した例もあるそうです。


 そのため、近年では、環境省が各都道府県・政令市に対して、
 「許可申請の際に、住民の同意書の添付を求めてはイケマセン」という
 通知を出しました。


 じゃあ 住民の意向はまったく関係無くなったのか!?


 そうではありません。
 「同意書」という紙切れは求められませんが、周辺の関係者に対して、事業
計画を説明する手続きが必要になりました。


 今までは一部の関係者対策だけを考えていれば済んでいたものが、
 関係者全て、特に近隣の住民の方に、産廃処理事業を納得してもらうことが
必要になりました。


 考えようによっては、規制強化と言えるかもしれません。


 実のところ、産廃処理施設の設置の際には、いかにして近隣の方たちに納得
してもらうかが、最大のポイントになります。

 このような事情があるため、
 「近隣の住民の方と、良好な関係を築いておられますか?」と、常に質問し
ているわけです。


 ごく稀に、上記の問答の結果、
 「でも、センセイから住民に説明してくれたらイイじゃないですか」という
方がおられます。


 残念ながら、私は、そのような方からの依頼はお断りしています。


 儲かる仕事なのになぜか?


 答えは簡単です。


 その場所で、産廃処理事業をするのは、私ではなく、相談者だからです。


 私がいくらうまく説明したとしても、その場所で事業を継続していくのは、
相談者なのです。
 自分の事業内容を他人にうまく説明できないようでは、近隣の関係者から信
用を得ることはできません。
 もっと言えば、「事業をやる資格がそもそも無い」と言っても良いでしょう。

 それなのに、この一番肝心な手続きを代行してしまう行政書士の方がおられ
ます。


 もちろん、法律違反ではありませんし、行政書士もビジネスである以上、
ニーズに応えることも必要でしょう。


 でも、ちょっと考えてみてください。


 S○NYが新商品発売の記者発表をする時、(←伏字になっていない)
 S○NYではなく、広告代理店が商品の説明をしたりするでしょうか?


 そんなことをしたら、
 「S○NYは、やる気があるのか!?」と思われますよね。


 こういった場合は、やはりS○NY自身が、説明をすることに意味があるの
です。

 産廃処理事業に話を戻しますが、
 「許可を取れば終わり」ということはありません!


 むしろ、許可の取得は、物語の始まりにすぎないのです。


 その物語を続ける資質がある会社・人だけを世の中に送り出すことこそ、行政
手続きの専門家である、行政書士の役割なのではないでしょうか?

 本日は、ちょっと辛口でした。

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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