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その許可は誰のため(その2)

 前回のメルマガの主旨は、
 産廃処理業の許可は、国に一本化すべきではない!!  でした。


 今回は、その理由を詳しくご説明します。


 産業廃棄物処理業は、きめ細かな監視が必要な業界ですので、国よりも、
地方に権限を移す方が効果的ですし、法律上でもそのように定められています。


 これが第一の理由です。


 では、なぜ きめ細やかな監視が必要なのか?


 それはなにも、一昔前のように、「この業界に荒くれ者が多いから」と
いうわけではありません。


 上の質問に対する答えを、一言で言うと


 こと、廃棄物処理に関しては、「性悪説」に従う方が安全だからです。

※「性悪説」の読み方は、「せいあくせつ」であって、「しょうわるせつ」
ではありません(笑)。


 具体的に考えるならば、「家電リサイクル法」を思い浮かべると良いです。


 洗濯機を廃棄する際には、「家電リサイクル法」の規制に基づき、リサイク
ル料金を支払わなければなりません(約4,000円程度)。
 


 法律で、「リサイクル料金を払いなさい」ってなっているんだから、
みんな ちゃんとした店に持ち込むに決まっているじゃないか

 これが、「性悪説」の反対の「性善説(せいぜんせつ)」です。


 「性善説」の場合とは逆に、「性悪説」ではこう考えます。

 「4,000円も払うんだったら、不法投棄した方が得だ」と考える人間が
いるに違いない!

 こう書くと、「性悪説の立場に立つ人って、ひねくれ者ね!」と思う人が
多いかもしれません。


 しかし、人間心理の深層と、不法投棄される確率、そして、一向に減らない
不法投棄の状況を考えると・・・・


 廃棄物の処理に関しては、
 「性悪説」に立つ方が安全であると思います。


 性「悪」説と書くので、悪い思想のように見えますが(笑)、
 性悪説に立つと、


「廃棄する時に処分費を徴収すると、不法投棄を増やすだけなので、最初から
製品の販売価格の中に、処分費を盛り込み、メーカーに無料で引き取ってもら
えるようにしましょう!」と、考えることができるようになります。


 もちろん、これだけで不法投棄が無くなるとは思えませんが、少なくとも、
「性悪説」に立つことにより、打ち手の一つを考えることができるようになり
ました。


 「性善説」のままでしたら、
 「不法投棄する人なんていないよ〜」で、終わってしまうところです。

 法律で、いくら綺麗に文章で禁止したとしても、不法投棄をする奴はする!


 これを前提とすると、頭でっかちの中央集権体制(国中心)よりも、現場で
即応できる態勢(地方分権)の方が、望ましいことが分かると思います。


 警察だって、中央集権ではなく、各都道府県ごとの組織ですからね。


 産業廃棄物の処理を規制する行政については、
 前回のメルマガで触れましたように、都道府県以外にも、政令市が含まれま
す。


 ですので、大阪府の場合でしたら、
 大阪府警の他に、大阪市警、堺市警、東大阪市警、高槻市警と、全部で5つ
の独立した警察があるイメージです。


 江戸時代の町奉行みたいですね(笑)。


 将来的には、

 そんなにたくさんの警察(産廃を規制する行政庁)が本当に要るのか?
 都道府県警で十分じゃないか!?
 という議論が起こってくる可能性はあります。


 少し話が脱線いたしました。


 一番大切なことは


 問題が起こった時に即応できるのは、「国」ではなく、「地方」であると
いうことです。


 まぁ・・・・


 最近は、「事態に即応できている」と太鼓判を押せる自治体が、減ってきて
いるのも事実なのですが・・・・


 ひょっとすると、減少どころか、絶滅してしまったのかもしれません(汗)。


 この続きは次回。

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