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組織崩壊のキーワード ビッグ3(その3)

□ 組織崩壊のキーワード ビッグ3(その3)


 今回は、単刀直入に行きます!!


 組織、特に廃棄物の処理に関するセクションが崩壊する時の、キーワード
ビッグ3です。


 1.これくらいなら・・・・
 2.他もやっているから大丈夫だろう・・・・
 3.見つからなければ大概のことをしても良い・・・・


 このキーワードを、どこから抽出(見つけて)きたかと言いますと
 無許可操業の産廃アウトロー達の言動からです。


 この発言をしたのはアウトロー達ですが、廃棄物処理のみならず、全ての
組織にあてはまるキーワードだと思われませんか?
 私は汎用性の高いキーワードだと考えています。


 これらのキーワードがなぜ危険なのかを、これからご説明いたします。


 まず、「これくらいなら・・・・」
 このキーワードは、言っている本人と、言われた相手の両方を拘束する
キーワードです。


 具体的な例としては、
 土砂の中に、廃棄物を混入させて埋立をしている者がいるとします。


 住民からの通報により、行政がその行為を中止させようと、現地に乗り込み
ました。
 行政が実際に見てみたところ、確かに住民の通報どおり、土砂の中にコンク
リートくずを混入させて、埋立をしていました。


 しかし、そのコンクリートくずは、握りこぶしを二周り大きくしたくらいの
サイズです。
 そのため、土砂全体の容量に比べれば、問題にならないくらいの量です。


 埋立をしている腹黒氏は、こう説明しました。

 
 埋立に使っている土砂は、全て購入したものだ。
 無許可で産廃の受け入れをしているわけではない。
 たしかに、コンクリートくずが土砂に混入しているが、「これくらい」なら
ほんの少量なので、問題はないだろう?


 腹黒氏はそう説明しながら、土砂を購入している証拠として、土砂の納品
書を取り出しました。


 その納品書に書かれた金額は、土砂10tで5,000円と明らかに安すぎ
る金額でした。


 土砂は廃棄物処理法上、廃棄物に該当しません。
 おまけに、腹黒氏は、土砂の納品書まで提示しました。


 埋立現場を訪れた、A県B保健所環境課の担当、腰弱氏はその説明に納得し、
 「土砂の搬入に伴う粉じんを発生させないようにしてください」とだけ、
指導しました。


 そして、腰弱氏はB保健所に戻り、上司に指導内容を報告しました。
 その報告に対し、上司から腰弱氏に指示はありませんでした。


 その結果、B保健所の内部では、腹黒氏の事案は、
 「廃棄物の埋立行為」ではなく
 「単なる土地の造成行為」として決着しました。


 B保健所が来てからも、腹黒氏の埋立行為は一向に収まりません。
 むしろ、ダンプの往来が以前より活発になりました。


 住民はカンカンになって、B保健所にもう一度苦情の電話をかけました。


 一度行政内で決着してしまうと、外部からその決定を突き崩すのは困難です。


 案の上、腰弱氏は、怒りに震える苦情者を更に怒らせ、そして絶望に陥れる
説明を始めました。


 腹黒氏の行為は、産廃の埋立ではなく、土地の造成行為である。
 若干の廃棄物も混入しているが、この程度の量なら問題ない。


 「B保健所は、業者の味方なのか・・・・」
 言いようの無い徒労感に蝕まれ、苦情者はそこで電話を切りました。


 その後も、腹黒氏の「造成」行為は延々と続き、1月後には・・・・
 高さ20mの 産廃の山ができてしまいました!!


 腹黒氏は、その現場に姿を見せなくなり、居場所が分からなくなってしまい
ました。

 最初は、「土砂の埋立」だったのに、なぜ高さ20mの産廃の山ができたの
でしょうか???


 その答えは、「これくらいなら」の積み重ねにあります。


 腹黒氏は、B保健所の立入検査以降、腰弱氏を初めとする県職員が姿を見せ
なくなったことに味を占め、土砂の搬入を活発化させました。


 そうそう、元々、腹黒氏は土砂を買っていたのではなく、残土の処分場と
して、他人に土砂を搬入させていたのです。
 検査の時に提示した納品書はにせものです。


 腹黒氏は、残土の処分だけで満足していましたが、
 「産廃も埋立させてくれ」という顧客?のニーズに応えるため、
 産廃の混入を認めるようになりました。


 最初は人目を忍んで、産廃の搬入は夜間だけに限定していましたが、
 B保健所が黙認していることに感づき、昼間に堂々と受け入れるようになり
ました。


 「1%くらいの産廃の混入率なら、誰も目くじらを立てないだろう」が、


 「産廃が10%の混入率なら、90%が土砂なので、まだ大丈夫だろう」に
なり、


 「産廃が50%の混入率でも・・・」


 「100%産廃でも、上から土を被せれば見つからないだろう。他の業者も
 やっていることだし」 と変化していったわけです。

 今回のお話はフィクションですが、非常によく見られる、典型的な不法投棄
現場の出現パターンです。


 こうして見てみると、「これくらいなら・・・・」の積み重ねって危険です
よねえ。


 「産廃のアウトローの話なんて関係ないね」ではなく、


 「当社の廃棄物管理にもあてはまるかも・・・」
 「わが社のリスク管理は大丈夫なのか心配になってきた」 等々


 読者の皆様の会社・組織にあてはめて考えてみてくださいね。

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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