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「原油高」という踏み絵(その3)


 前回のメルマガでは、「サーマルリサイクル」という用語は噴飯モノである
と書きました。


 「サーマルリサイクル」とは、下記のURLをご覧ください。

 EICネット
 http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=3380


 最後の方に、
 『欧米では、通常、燃焼をリサイクルの概念には含めない。』と
 書かれています。


 それにもかかわらず、諸外国では、都市ゴミを焼却した際に発生する熱を、
極めて有効に活用しています。

 NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)HP
 http://www.nedo.go.jp/nedata/16fy/05/b/0005b011.html


 調査年度が少々古いのが難点ですが、その当時から、諸外国は効率良く
熱回収を進めてきたということですね。


 では、「サーマルリサイクル」が大流行の日本の状況はどうか


 サーマルをリサイクルするっていうくらいだから、最低でも90%くらいは
回収しているだろう!


 そう思われる方が多いと思います。


 しかし、現実の数字は、それとは全く逆に、非常にお寒い状況です。


 一般廃棄物の焼却施設全体の熱回収率は
 およそ20〜25%


 これのどこが「サーマルリサイクル」なのでしょうか?


 環境省のHPや循環白書の中から、熱回収率の数値を見つけることは非常に
困難でしたので、政府としては、あまり公にしたくないデータなのかもしれま
せん(笑)。


 別に陰謀論ではありませんが、
 日本では、「ゴミ焼却」と言うのに不都合がある場合は、「焼却」を「サー
マルリサイクル」という言葉に置き換えて誤魔化す傾向にあるようです。


 「焼却」を「リサイクル」の一環として位置づけてしまうと、ゴミの分別や
排出抑制を進める意味が無くなってしまいます。


 「サーマルリサイクル」などと、訳の分からない横文字を使うよりは、
 はっきり「焼却」と言ってしまいましょう!


 「焼却」を完全否定するのは現実的ではありません。
 「焼却」以外の処理方法では、処理困難な廃棄物がたくさんあるからです。


 そのような廃棄物の発生を極力抑制した上で、安全な条件で焼却する。
 それと同時に、焼却熱の利用効率をもっと高めていく


 これが正しいあり方です。


 「リサイクル」という言葉に惑わされ、焼かなくてもよい廃棄物まで焼却さ
れることがないよう、切に祈るのみです・・・

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元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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