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混ぜるな危険!!(その1)


 昨年あたりから、ようやく石綿の有害性が報じられるようになり、国は石綿
被害者の救済措置や法律改正に着手し始めました。


 遅きに失した感はありますが、やらないよりはやった方が良いに決まってい
ます。


 1970年代からずっと、一部の研究者から石綿の有害性が指摘されていたに
もかかわらず、それから30年以上も石綿を騙し騙し使い続けていたわけです。


 石綿には「耐熱性」という非常に便利な特質があるため、有害性に目を背けな
がら、我々にとって身近な場所で使用され続けてきました。


 現在の日本の廃棄物処理法では、廃棄物となった石綿は、「飛散性」のもの
と、「非飛散性」のものの2つに分類されます。


 そのうち、「飛散性」の廃石綿は、読んで字のごとく、そのまま放置すると
大気中に飛散する性状のものですので、「特別管理産業廃棄物」として厳重に
管理すべきことが義務付けられています。


 一方、スレートなどの建材に一部石綿が使用されたようなものは、そのまま
の状態では、大気中に石綿が飛散しませんので、ただの「産業廃棄物」として
扱われています。


 しかしながら、普通の建設系廃棄物と同様に、「ガラガラグッシャーン!」
と破砕してしまうと、その場で石綿が飛散してしまいますので、安易に切断や
破砕をすることは厳に禁止されています。


 とは言え、たくさんある廃棄物の中に、石綿使用廃棄物がまぎれこんでしま
うと、もう分別なんてできません。
 見かけは他の廃棄物と同じなのですから!


 そのため、ようやく今年の夏ごろ、環境省は中間処理業者に対し、従来は認
めていた非飛散性石綿廃棄物の受け入れを禁止しました。
(今年の夏以前は、最終処分場に処分するためなら、非飛散性石綿廃棄物を受
け入れることが可能だったのです。ただし、破砕などは当然できませんでした)


 環境省は、単に分別を厳格にさせるだけではなく、石綿を無害化できる処理
技術の導入を急ぎました。


 その結果、今のところは、1500度以上の高温で石綿を溶融し無害化する
技術が公認されています。


 これらの規制をもって、ようやく形式上は石綿の処理ルートが出来上がった
ことになります。


 
 「混ぜたら分からなくなるので、分別して処分」


 これが石綿のみならず、廃棄物の処理、あるいは再利用の鉄則です。

 国が規制をしたからといって、全ての関係者がその規制の趣旨どおりに行動
する可能性は低いのですが、まずは形は整いました。


 まだまだ予断は許しませんが、あとは規制の趣旨を徹底していくのみです。

 次回のメルマガは、石綿よりもっと危険な廃棄物についてお話いたします。

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