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止まらない不法投棄


 11月28日に、環境省から「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成17年
度)について」が発表されました。

 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=7743


 その発表内容によると、

1.平成17年度に新たに発覚した不法投棄の件数は558件(前年度より115件減少)
  不法投棄量は17.2万トン(前年度より3.5万トン減少)。

2.平成17年度末時点の不法投棄等の残存件数は2,670件(前年度より106件増加)
  残存量の合計は1,567.3万トン(前年度より12.7万トン減少)  でした。


 経年変化をグラフで眺めると、2001(平成13)年以降、投棄件数が着実
に減少しています。


 2001(平成13)年度の投棄件数と比べると、2005(平成17)年
度の投棄件数は半減しています(1150件から558件に減少)。


 この発表結果だけを見ると、不法投棄が減少しているかのような印象を受け
ますが、実態はどうなのでしょうか?


 私は、この発表結果だけを鵜呑みにすることは危険だと考えています。


 まず、「投棄件数」とは、その年度に発覚した新しい不法投棄事案の件数の
ことですので、一度カウントされた投棄件数は、翌年度の投棄件数にはカウント
されません。


 それに、今回の発表資料の対象となる不法投棄は、
「1件あたりの投棄量が10トン以上のもの」に限定されています。


 そのため、トラック1台分の小規模な不法投棄などは、この発表結果に反映
されていないのです。


 ですから、日本全体での不法投棄件数は、こんな小さな数字ではありません。
 投棄された量についても同様です。

 また、残存量(過去に不法投棄され、撤去されずに残っている量)は、
1567万トンとありますので、新たに発覚した不法投棄量の10倍近くの
廃棄物が、昔から延々と残り続けているわけです。


 ちなみに、1567万トンとは、東京ドームの41杯分です(汗)。


 各都道府県別の内訳を読んでいると、度重なる「廃棄物処理法」の改正にも
かかわらず、1ヶ所で1000トン以上も不法投棄されたケースがゴロゴロあ
りました。


 法律を改正するだけでは、不法投棄を絶滅させることはできないようです。


 行政にその責任を押し付けるのは簡単ですが、その活動コストが税金である
ことを忘れてはなりません。


 排出事業者の意識が変わりつつあるのも事実ですが、まだまだ弱い勢いしか
感じられません。


 一部の者の責任で済ませるのではなく、経済活動のあり方自体を変えていか
ないことには、不法投棄を絶滅させることは困難でしょう。

 微力ながら、このメルマガは、その変革の一助を担うことを目的の一つとし
ています。


 結構本気です(笑)。

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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