メルマガバックナンバー > 「廃棄物」という言葉の意味

「廃棄物」という言葉の意味


 前回までのメルマガでは、「廃棄物処理法」の本質を考えてきました。


 今回は更に一歩進み、「廃棄物」とはどういう意味の言葉であるかを考えて
みたいと思います。


 その前に、私がなぜ「廃棄物」という言葉の意味を考えるようになったのか
を、明らかにしなければなりません。


 「廃棄物処理法」の正式名称が、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で
あることは既にご説明しました。


 この長い法律名の中に、「清掃」という言葉がなぜ入れられているのか?


 「清掃」とは、「掃除すること」の意味ですよね。
 

 なぜ法律に「お掃除」のことを書く必要があるのでしょうか?


 最初この法律を学んでいる時、私は激しく疑問に思いました。


 法律の名称には、「清掃に関する法律」と書かれているのに、この法律には
「清掃」に関する条文が一つも無いからです。


 そのため、
 「清掃の規定が無いのなら、『廃棄物の処理に関する法律』でも良いのでは」
と思ってしまいました。


 実際のところ、もはや「清掃」は単なる枕詞(まくらことば)です(笑)。
 法律の実態を表す言葉ではありません。


 ではなぜ、法律の名称にわざわざ「清掃」を盛り込んだのでしょうか?


 それは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が、「清掃法」の後継法
だからです。


 「清掃法」ってシンプルな名称で良いですね。


 「清掃法」とは、「市町村」を清掃事業主体とし、公衆衛生的な観点から
「汚物」の処理を進めるために、昭和29年に制定された法律です。


 ここでまた気になるキーワードが出てきました!


 「汚物」です(笑)。


 現在でも、その言葉を使う場面がありますが、日常会話で出てくることは
極めてまれな言葉です。


 この「汚物」という言葉は、唐突に「清掃法」の中に出現したのでしょうか?


 そうではありません。


 実は、「清掃法」もある法律の後継法で、ある法律の理念を色濃く反映した
ものだったのです。


 「清掃法」が理念を引き継いだ法律
 言い換えれば、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」のおじいちゃん、お
ばあちゃんにあたる法律の名前は・・・・

 「汚物掃除法」です。
  ~~~~~~~~~~


 分かり易すぎる名前です!
 ストライクど真ん中の剛速球を放り込まれた気分です(笑)。


 「汚物」の「掃除」ですから。


 最近の法律名称も、これくらいシンプルにした方が良いと思います。


 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理に関する特別措置法」


 正確さを追求するあまり、通読しても意味不明な名称になっています。


 寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ ・・・みたいな


 結局のところ、「PCB廃棄物処理法」でも十分だと思います。

 話が横に逸れてしまいましたが、
 日本語の「廃棄物」という言葉を理解する上では、「清掃」と「汚物」の
意味を理解することが不可欠です。


(次回に続く)

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
(マガジンID:0000168298)
メールアドレス:  Powered by