メルマガバックナンバー > リサイクル幻想

リサイクル幻想


 前々回のメルマガ「廃棄物という言霊(ことだま)」は、密かに好評を博し
ております(笑)。
 2週間たった現在でも、かなり長文のご感想を頂戴することがあります。


 バックナンバー 「廃棄物という言霊(ことだま)」
 http://www.office-onoe.com/magazine/2007/03/post_67.html


 「日本はやはり言霊の思想が根付く国だなあ」と納得してしまいました。


 顕在意識では否定をしても、集合的無意識レベルでは、民族の英知として深
く刻み込まれた思想のようです。


 「日本は単一民族国家じゃないよ」というお叱りを受けそうですが、今回の
メルマガの趣旨は、「コトバの力」や「伝統や慣習などの『場』の力」を眺め
ることにありますので、ご容赦ください。


 さて、通常「言霊」という言葉を持ち出すときは、日本語の使用例を挙げる
のがほとんどです。
 上述の「廃棄物」などがその好例ですね。


 しかしながら、幸か不幸か
 融通無碍(ゆうづうむげ)な精神を遺憾なく発揮する日本人は、言霊の
フィールドを外来語にまで広げました。


 「コンプライアンス」=「法令遵守」


 「リサイクル」=「環境に優しい」  など
             ~~~~~~

 字面だけを見て、ついつい理解した気持ちになってしまう言葉のことです。


 また、「リサイクル」については、諸外国からすると噴飯モノの「サーマル・
リサイクル」という言葉まで作ってしまいました!


 「サーマル・リサイクル」は「熱回収」の意味らしいですが、本当は「焼却」
をカタカナで表現しただけです。 \(◎o◎)/


 「意図的に」言い換えたのか?それとも「無知で」間違えているのか?


 どちらが正しいのかは分かりませんが、日本では、学者や官僚といった高度
な教育を受けた人間でも、「リサイクル」=「最善の行動」と、無垢に信じ
きっているのは確かなようです。


 家族が食べ残した食事を平らげて「リサイクル」と称し、
 
 太って着られなくなった服を無理に着続けて「リサイクル」した気分になる


 本来なら「リサイクル」とは関係の無い行為にまで、「リサイクル」の守備
範囲が広がってしまいました。

 
 では、「リサイクル(recycle)」の本来の意味はどんなものなのでしょうか?


 「EICネット環境用語集」より抜粋
 http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2658


(ここから)

 ごみを原料(資源)として再利用すること。「再資源化」や「再生利用」と
いわれることもある。

 具体的には、使用済み製品や生産工程から出るごみなどを回収したものを、
利用しやすいように処理し、新しい製品の原材料として使うことを指す。

 狭義には、新製品に使う原料として再資源化(再生利用)する「マテリアル
リサイクル(原料リサイクル)」を意味する概念としてに限定的に用いられる。

 広義には、ごみを燃やして、その際に発生する熱をエネルギーとして利用す
る「サーマルリサイクル(熱回収)」を含めた概念として用いられる。

 さらに広義には、使用済み製品からまだ使える部品を取り出し、新製品に組
み込む「部品のリユース(再使用)」も含めてリサイクルと呼ばれることもあ
る。

 循環型社会形成推進基本法(2000)では、廃棄物処理やリサイクルの優先順
位を(1)リデュース(ごみの発生抑制)、(2)リユース(再使用)、(3)
(狭義の)リサイクル、(4)熱回収、(5)適正処分 としている。

(ここまで)


 上記のEICネットの説明は、既に述べた観点から否定したい点がたくさん
ありますが、説明の繰り返しになりますので省略します。


 この説明で重要な点は、「リサイクル」とは、
 「ごみを原料(資源)として再利用すること」という点です。


 どうでしょう


 巷で溢れる「リサイクル」は、「リデュース(発生抑制)」と「リユース(
再使用)」の全ての意味を含んだ、間違った使われ方がされていると思いませ
んか?


 残飯を平らげるのは、「リサイクル」ではなく「リデュース」
 古着を人にあげるのは、「リサイクル」ではなく「リユース(リデュースと
も言えます)」なのです。

 (だいぶ長くなったので、次回に続く)

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
(マガジンID:0000168298)
メールアドレス:  Powered by