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産業廃棄物処理業者の選別基準(その2)

 第1のチェックポイント
 「保管場所・作業場所が整然と保たれているか」


 前回のメルマガでは


 信頼できる産業廃棄物処理業者を見つけるためには、


 行政の許可の有無だけでは判断できないことをご説明しました。


 今回は、「ではどうするの?」という疑問に対するお答えとなります。

 まず、信頼できる処理業者とはどんな会社でしょうか?


 真っ先に思い浮かぶのが、
 「不法投棄等の『不適切な処理』を絶対にしない会社」であろうと思います。


 このように言葉で言うと簡単ですが、実際の会社経営の場面においては、
 「理念」だけでは立ち行きません。


 「武士は食わねど高楊枝」を貫ける人はほとんどいません。


 「背に腹は変えられない」
 理念より、日々の糊口をしのぐことが優先されます。


 「明日支払う金が無い!」というギリギリの状況に追い込まれた状態では、
 「理念」の存在は小さく霞んでしまいます。


 その結果、やむにやまれず不法投棄。


 「廃棄物処理法」違反で逮捕される人のほとんどは、このような状況を
契機として、犯罪に手を染める場合が多いです。


 最初から、「このゴミを人目に触れない山中に捨ててやろう。ヒッヒッヒ」
と、確信犯的に生きている人間は極めて稀なのです。

 このあたりの構造を理解することは非常に重要です。


 「なぜ不適正処理をするのか」を考えるということです。


 その理由は結構単純です。


 「不適正処理によって、経済的利益を得たい」


 これ以外にありません。


 そして、その動機を実行に移す際に、人間が取る行動のパターンは限られて
います。
 廃棄物処理業に関しては次のようなものです。


 1.受け入れる廃棄物の量・種類を、限界以上に増やす
 2.処分コストを、不法投棄や不法焼却などで浮かせる
 3.「1」と「2」を併用する


 この3つしかありません。


 まず「1」
 廃棄物処理業者は、無尽蔵に廃棄物を処理できるわけではありません。
 処理する機械の能力や、取り扱える廃棄物の種類が、「許可」によって予め
決められているからです。


 そのため、売上金額を伸ばすにも自ずと上限があります。
 本来は、処理能力以上、または運搬する車両の数以上に、廃棄物を取り扱う
ことはできないからです。


 廃棄物処理業は、装置産業の側面を持っています。


 何らかの事情で、売上を急激に増やさなければならない場合、「許可」で定
められた上限を超えた量の廃棄物を受け入れる


 廃棄物処理業は、在庫を持ってはいけない商売です。
 ここでいう「在庫」とは、製品の在庫のことではなく、処理業者が敷地内に
保管できる「廃棄物の総量」のことです。


 正確には、在庫が全て違法ではなく、処理能力の14日分までは在庫を抱え
ることが認められています(廃棄物処理法施行令第6条第2号ロ(3))。


 それを、21日分、28日分と大幅に超過した状態で廃棄物を保管し続ける
のが「1」の状態です。


 これが、不適正処理の第1のパターンです。

 次が「2」


 通常の廃棄物処理業者は、受け入れた廃棄物に何らかの処理を加え、次の
適切な処理業者に廃棄物を引き渡します。


 そのため当然のことながら、「売上=利益」ではありません。


 中間処理そのものに伴うコスト
 最終処分先あるいは売却先への運搬コスト などが発生するからです。


 仮に、ある中間処理業者が、木くずの破砕処理を10,000円で請け負う場合を
例として考えてみます。


 最初に処理業者の手元には1万円が入ってきますが、
 破砕処理に3,000円、破砕処理後の運搬に3,000円といった具合にコストがか
かりますので、最終的には4,000円しか手元に残りません。
(注:実際は、もっと利益率が低い)


 ここで、面倒な破砕処理をせずに、燃やしたり、不法投棄してしまうと、
コストをその分大幅に削減することができます。


 そうなると
 最初に貰った1万円の処理費が、まるまる手元に残る場合もあります。

 このような手法で、特に「1」と「2」を組み合わせると、手元に残る
キャッシュを大幅に増やすことができます。

 これが、「不適正処理」の基本的な構造です。


 このような不適正処理に至る構造を理解すると、不適正処理を行おうとして
いるアブナイ業者を見抜くことができるようになります。


 次回に続きます。

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