◆産業廃棄物処理市場の成長性(その1)
今回も、前回に引き続き、
平成16年度
産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況
http://www.env.go.jp/recycle/waste/kyoninka/kyoninka_h16.pdf
を基にして、お話をしていきます。
前回のメルマガでは、
「廃プラスチック類の破砕施設」と「木くず又はがれき類の破砕施設」の
2つだけが激増している背景を見てみました。
その背景を一言でまとめると、「資源市場の変化」ということでした。
今回は、「産業廃棄物処理市場の成長性」を見てみます。
「平成16年度
産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況」の
5pをお開きください。
※資料は上記のURLから、PDFファイルをダウンロードできます。
そこには、「産業廃棄物処理業の許可等の状況について」が載っています。
環境省の調査によると、平成16年度の許可件数は、前年度より2,669件
増加し、257,514件。
「2,669件の増加」と書くと、許可件数が激増したように見えますが、増加
率で考えると、たったの1%増です。
平成14年度から平成15年度にかけて、許可件数が17%も増加していたこと
を考えると、平成15年度から平成16年度にかけては、「ほぼ横ばい」と言って
も良いでしょう。
産業廃棄物処理業(特別管理産業廃棄物処理業を除いたもの)の許可件数の
内訳を見てみると
収集運搬業が222,269件
処分業が 12,337件 となっています。
ここで少し用語の意味を補足すると
「収集運搬業」とは、産業廃棄物の収集と運搬のみを行う業、つまり、廃棄物
の運送屋さんです。
「処分業」とは、産業廃棄物の中間処理や最終処分(埋立て)を行う業のこと
ですので、一般的な「廃棄物処理業」のイメージに近い事業だと思います。
しかしながら、「処分業」の許可件数は、産業廃棄物処理業の許可全体のう
ち、たったの5%に過ぎません。
残りの95%は、廃棄物の収集運搬のみを行うための許可なのです。
そのため、23万件もの許可件数がありながら、ほとんどの人にとっては、
産業廃棄物処理業界は身近な存在ではなかったのです。
「処分業」とは違い、「収集運搬業」を普段の生活で意識する機会は少ない
ですからね。
ただ、特定の地域によっては、5社、10社と産廃処理会社が集中している
場合があります。
そういった地域に住む人にとっては、「身近」以上の存在であり、場合に
よっては「攻撃」や「監視」の対象であるかもしれません・・・
「身近でないため無条件に拒否反応」
↓
「地域を挙げて反対運動」
↓
「他業者が進出した実績のある地域への参入に方向転換」
↓
「特定の地域に立地が集中」
こういったスパイラルが存在しているのも事実です。
「都市部で発生した廃棄物が、一部の(進出しやすい)地方のみに集中」
これがほんの少し前までの、廃棄物処理の実態でした。
しかし
前回のメルマガでもお話したとおり、最近になってようやく
「廃棄物」から「資源としての再利用」へシフトチェンジしつつあることか
ら、「処理施設」への投資が活発化してきました。
具体的なメリットを言うと、
都心から2時間離れた山奥より、都心から1時間以内で行ける土地を確保し
た方が、事業がより効率的にできるようになりました。
従来ですと、都心近郊の土地では、「廃棄物処理業」という言葉に過激な反
応が示されることが多く(実際その反応が間違いではなかった例も多かったの
ですが・・・)、都心近郊での立地を断念せざるを得なかったのですが
最近は、「廃棄物の資源としての再利用が当たり前」となり、優良な会社が
たくさん出始めてきたこともあり、若干ではありますが、都心近郊での立地が
ちらほらと現れてきました。
「廃棄物の処理」ではなく、「資源としての再利用」をキチンと掲げている
かどうかも重要なポイントです。
もちろん、「羊頭狗肉」で、単なるスローガンではダメです。
実際に資源として市場に流通させていることが大前提です。
これからは、
「山奥の人目に付かない施設で細々」 ではなく
「都心の近所で堂々と」 営業できる時代になる!
かもしれません。
ただ、そうなるために 産業廃棄物処理業界が絶対に避けては通れない道が
あります。
続きは次回に。