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「木くず」の範囲変更

 数年前より、今か今かと待たれていた、「廃パレット」が遂に産業廃棄物に
なりました!!

 環境省の発表
 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8739


 産業廃棄物の「木くず」とは、
 建設業や木材加工業など、一定の業種から発生したものに限定されています
ので、それらの業種以外から発生した不用物の場合は、事業活動によって発生
したものであっても、自動的に一般廃棄物になります。


 産業廃棄物なら、産業廃棄物処理業者さんにお金を払って処理をお願いでき
のですが、一般廃棄物の場合は、ちとヤヤコシイ。


 通常、一般廃棄物は、最寄の市町村が処理することになっているのですが、
事業者が発生させた一般廃棄物の場合、ものによっては、市町村が受入れてく
れない場合が多々あります。
 なぜなら、事業者には、自ら発生させた廃棄物の処理責任があるからです。


 この「事業者の処理責任」とは、
 市町村にとっては、非常に使い勝手の良い「伝家の宝刀」です。


「それは一般廃棄物だけど、うちの焼却炉では処理できないので、
 持って帰って自分で処理してください」

 事業者に対しては、このようなことを平気で言うことができます。


 確かに、処理できないものを、市町村が無理矢理受入れる理由はありません。


 でも、事業者にしてみれば

 自分で処理できない一般廃棄物だから、市町村に処理をお願いしたいのに、
「事業者の責任で処理しなさい」と言われてもなあ・・・

 と言いたくなります。


「市町村が受入れてくれないならば、産業廃棄物処理業者に頼めば良いではな
いか」と思う方も多いかもしれません。

 
 しかし、厳密に言うと、これは違法なのです。


 なぜって?


 産業廃棄物処理業者は、「産業廃棄物」を処理する許可しか持っていない
からです。それなのに、「一般廃棄物」を処理してしまうと、無許可で一般
廃棄物処理業をやっているのと同じことになります。


 とは言え、市町村で受入れができない一般廃棄物の場合、産業廃棄物処理業
者への委託が、半分黙認、半分公然と行われているのが現状です。


 冒頭に書いた、「廃パレット」が、その最たる例でした。


 「木くず」の業種限定が厳格すぎるため、廃棄物処理法に従って処理を
しようとすると、日本の大部分の地方で、パレットを合法的に処理することは
できませんでした。

 廃パレットは、建設業から発生したものでも、パルプ製造業から発生したも
のでもないため、「一般廃棄物」でしかあり得ず、産業廃棄物としての処分が
認められないからです。


 これでは、なんのための廃棄物処理法なのかわかりません。


 そこで、産業界を中心とした、「せめて廃パレットくらいは、産業廃棄物の
扱いにしてくれ!」という悲願を背景とし、数年間の審議の後、ようやく
廃パレットが産業廃棄物として扱えるようになりました。


 正確に言うと、平成20年、つまり来年の4月1日から、廃パレットは産業
廃棄物の「木くず」になります。


 廃パレットの他にも、リース業やレンタル業から発生した木製の不用物
(家具や机)も、従来の一般廃棄物から、産業廃棄物に変わります。


 今回の廃棄物処理法施行令の改正によっても、まだまだ、木くずの発生源の
限定が厳格ですが、現実と法律のバランスを取る取組みが一歩進んだことは、
間違いありません。

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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