◆理想と現実の狭間で・・・(その1)
当事務所には、廃棄物の処理に関して色々な相談が寄せられます。
相談ではありませんが、行政の方相手に、廃棄物処理法の規定をご教授する
ことも多いです。
正確には、法律的に正しいと考えている内容の「主張」ですが(笑)。
最近、リサイクルの重要性が浸透してきたためか、廃棄物のリサイクルに関
する相談が増えています。
ただ・・・
廃棄物のリサイクルを進めること自体は素晴らしいことなのですが、問題は
法律的にそれが認められるかどうか・・・
相談に来られる方の多くは、「リサイクル=善」という意識が前面にある
ため、どうしても、法律上必要な手続きを失念しがちです。
手続きを知らなかった場合は、その手続きを踏めば良いだけなので、それほ
ど大きな問題はありません。
厄介なのは、
手続きを知っているし、それを進めるつもりもあるのだけれど、
行政が「法律の整合性」を問題とするので、手続きが進められない。。。
という場合です。
とは言え、行政も嫌がらせで、リサイクルの妨害をしているわけではありま
せん。
「リサイクルを進めて欲しいけれど、法律の文言を忠実に運用すると、認める
ことができない」というのが本音です。
具体的な例を一つ挙げましょう。
ある企業(A株式会社)が、生ゴミを有益な肥料に変える、画期的な技術を
発明し、
「この技術をすぐ導入すれば、全国の生ゴミをゼロにできる!」と意気込み、
早速、全国の各家庭の生ゴミを集めに回ったとします。
A株式会社にしてみれば、
「ゴミが全部肥料に変わるのだから、誰も困る人はいない」ということで、
法律的な手続きが必要とは夢にも思いません。
しかし、行政の立場としては、A株式会社が生ゴミを集める行為は、
一般廃棄物収集運搬業の「無許可営業」に他なりません。
行政の考えを知ったA株式会社は、「では、一般廃棄物収集運搬業の許可を
取ろう」と考え、全国の市町村に、その許可の申請をしようとしました。
A株式会社は、全国の市町村に対して許可申請を行いましたが、95%以上
の市町村は、A株式会社に一般廃棄物収集運搬業の許可をしてくれませんでし
た・・・
(次回に続く)