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理想と現実の狭間で・・・(その2)

 前回のメルマガのあらすじ


 生ゴミを有益な肥料に変えるという、画期的な技術を開発したA株式会社は、

「この技術をすぐ導入すれば、全国の生ゴミをゼロにできる!」と思い、

全国の各家庭の生ゴミを集めるため、各市町村に一般廃棄物収集運搬業の許可

を申請しました。

 A株式会社は、問題なく許可が下りるものと思っていましたが、実際は、

 95%以上の市町村は、A株式会社に一般廃棄物収集運搬業の許可をして

くれませんでした・・・


 なぜ、95%以上の市町村は、A株式会社に生ゴミを集める許可を出して
くれなかったのでしょうか?


 生ゴミがなくなれば、市町村は大変助かります。


 それなら、A社に許可を下ろせば良いのでは?


 ハイ そのあたりが廃棄物処理法の難しいところでして、「これは良い」と
思えることでも、いざそれを実行しようとすると、法律の規定が足かせになる
ことが多いのです。


 なにが足かせになっているかを説明し始めると、法律の詳細な部分に立ち入
る必要が出てきますので、今回は、概略のみをご説明いたします。


 一般廃棄物の場合は、産業廃棄物とは違って、市町村が、許可を出すか
どうかをすべて決めます。


 そして、市町村内で発生する一般廃棄物は、市町村の焼却炉ですべて処分
するのが建前となっております。


 それなのに、新しく民間事業者が参入することを認めてしまうと、
「焼却炉で処理しきれないゴミがあるのです」と、市町村自ら認めてしまう
ことになります。


 そうなると、焼却炉の設置や維持に使っている予算の正当性まで疑われて
しまいます。


 こうして、環境保全に役立つ理想的な計画であっても、実現されることなく
闇に葬られてしまいます・・・


 法律の整合性と、公金の使途の説明責任


 これは、「理想」が「現実」の前に膝を屈する、原因の一部にしかすぎませ
んが、どちらも、行政が果たすべき重要な責任の一つです。


 行政側に、前例踏襲主義という、頭の固さが根強く残っていることも否定
できませんが、法の抜け道を熟知しているアウトローに対処する必要がある
ことを考えると、それも仕方がない面があります。


 しかし

 「木くずの範囲変更」でもお知らせしたとおり
 http://www.office-onoe.com/magazine/2007/10/post_84.html


「法律と現実の整合性が取れないのなら、法律を現実に合わせよう」という
努力がなされていることも事実です。


 「無許可営業だ!」と、行政から言われないためにも、
 徒労に終わるかもしれませんが、行政に、困っている問題とその解決策の
案を相談しておくことが重要です。


 一つ一つの相談には、それほど大きな力はありませんが、少なくとも、
法律を犯す危険はなくなりますし、相談の結果、「解釈」と「運用」が
積み重なれば、廃パレットが産業廃棄物に移行したように、制度が変わる
場合もあります。


 ネバー ネバー ギブアップ です。

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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