◆理想と現実の狭間で・・・(その2)
前回のメルマガのあらすじ
生ゴミを有益な肥料に変えるという、画期的な技術を開発したA株式会社は、
「この技術をすぐ導入すれば、全国の生ゴミをゼロにできる!」と思い、
全国の各家庭の生ゴミを集めるため、各市町村に一般廃棄物収集運搬業の許可
を申請しました。
A株式会社は、問題なく許可が下りるものと思っていましたが、実際は、
95%以上の市町村は、A株式会社に一般廃棄物収集運搬業の許可をして
くれませんでした・・・
なぜ、95%以上の市町村は、A株式会社に生ゴミを集める許可を出して
くれなかったのでしょうか?
生ゴミがなくなれば、市町村は大変助かります。
それなら、A社に許可を下ろせば良いのでは?
ハイ そのあたりが廃棄物処理法の難しいところでして、「これは良い」と
思えることでも、いざそれを実行しようとすると、法律の規定が足かせになる
ことが多いのです。
なにが足かせになっているかを説明し始めると、法律の詳細な部分に立ち入
る必要が出てきますので、今回は、概略のみをご説明いたします。
一般廃棄物の場合は、産業廃棄物とは違って、市町村が、許可を出すか
どうかをすべて決めます。
そして、市町村内で発生する一般廃棄物は、市町村の焼却炉ですべて処分
するのが建前となっております。
それなのに、新しく民間事業者が参入することを認めてしまうと、
「焼却炉で処理しきれないゴミがあるのです」と、市町村自ら認めてしまう
ことになります。
そうなると、焼却炉の設置や維持に使っている予算の正当性まで疑われて
しまいます。
こうして、環境保全に役立つ理想的な計画であっても、実現されることなく
闇に葬られてしまいます・・・
法律の整合性と、公金の使途の説明責任
これは、「理想」が「現実」の前に膝を屈する、原因の一部にしかすぎませ
んが、どちらも、行政が果たすべき重要な責任の一つです。
行政側に、前例踏襲主義という、頭の固さが根強く残っていることも否定
できませんが、法の抜け道を熟知しているアウトローに対処する必要がある
ことを考えると、それも仕方がない面があります。
しかし
「木くずの範囲変更」でもお知らせしたとおり
http://www.office-onoe.com/magazine/2007/10/post_84.html
「法律と現実の整合性が取れないのなら、法律を現実に合わせよう」という
努力がなされていることも事実です。
「無許可営業だ!」と、行政から言われないためにも、
徒労に終わるかもしれませんが、行政に、困っている問題とその解決策の
案を相談しておくことが重要です。
一つ一つの相談には、それほど大きな力はありませんが、少なくとも、
法律を犯す危険はなくなりますし、相談の結果、「解釈」と「運用」が
積み重なれば、廃パレットが産業廃棄物に移行したように、制度が変わる
場合もあります。
ネバー ネバー ギブアップ です。