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先払いか後払いか

 大手家電量販店が、お客様から回収したテレビや冷蔵庫などの家電製品を、
製造事業者に引き渡さず、不正に横流しをしていたという報道がありました。


 「家電リサイクル法」では、小売店は、消費者から引き取った家電製品を、
家電メーカーに渡す義務があります。


 廃家電製品を運搬する費用とリサイクルする費用は、消費者が負担します。
 家電の種類や、メーカーによってその料金は異なりますが、
 おおよそ、2,000円から5,000円程度の費用負担となります。


 そのリサイクル料金をいただいておきながら、電気製品の買取業者などに
廃家電を売却した場合


 廃家電はなくなるし、リサイクル料金も丸儲け、おまけに売却代金も手に
入る!


 となりますので、ビジネスとしては、真面目にリサイクル処理をするよりは、
バンバン横流しする方が儲かるに決まっています。


 こういった構造的な問題を無視していては、いつまでたっても、「横流し」
を止めさせることは難しいでしょう。


 世間(消費者)の無関心を良いことに、「横流し」が水面下で横行している
原因としては、様々な要因が考えられます。


 ・行政の監視が行き届いていない
 ・廃家電が処理されたかどうかをリアルタイムで追跡できない
 ・法律違反の罰則が罰金のみ     etc・・・・


 リサイクル料金の発生が、家電の「購入時」ではなく、家電の「廃棄時」で
あることも、廃家電の横流しが魅力的に見える要因の一つと言えるでしょう。


 小売店にしてみれば、「横流しできる廃家電」と「現金」が同時にやって
来るわけですから(笑)。


 もっとも、リサイクル料金が前払い、つまり販売価格に上乗せされている場
合でも、横流しを根絶させることはできません。

 その場合でも、廃家電を横流しできることには変わりがないからです。


 それでも、罰則の強化と組み合わせながら、目の前から現金という「興奮剤」
を排除していけば、横流しの件数をゆっくりと減らしていくことは可能と思わ
れます。


 自動車と違い、家電のリサイクル料金が後払いの理由として、メーカーは、

「製品の設計時に、廃棄されるときのリサイクル技術を想定していないため、
 販売価格にあらかじめリサイクル料金を上乗せするのは困難」

 と、主張しています。


 確かに、20年以上前の家電の場合、分解しにくい構造であったり、リサイ
クルできない素材が多数使用されていますので、リサイクル料金を、一律に
設定することは難しいと思います。

 とは言え、そこはメーカーの工夫でなんとか善処できないものかと・・・


 家電リサイクル法制定直後は、
「後払いだと、料金の負担を嫌う消費者が不法投棄をする」という懸念が
ありましたが、意外にも、そんな短絡的な行動をする消費者は少ないのが現実
です。


 そんな遵法意識の高い消費者の期待に応えるためにも、メーカーと小売店の
更なる取組みに期待したいところです。
 

「よく分かる!!廃棄物問題」
元産廃Gメンの行政書士による、廃棄物問題の解説。廃棄物処理法の問題点、ゴミ処理技術、信頼できる処理業者の見つけ方、すぐに効果が出るゴミの削減方法、住民運動の留意点、産業廃棄物処理業者の経営改善手法、法改正情報など、ホットなニュースをお知らせしていきます。
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