許可の取り方『収集運搬の申請手続き』

許可の取り方「収集運搬の申請手続き」

1.「産業廃棄物収集運搬業」は、産業廃棄物を「積み込む場所(排出事業者の所在地)」と「降ろす場所(処分委託先)」の、両方の行政の許可が必要となります。

具体的な例でご説明します。
例1

東京都内で排出された「産業廃棄物」を、滋賀県内の「中間処理業者」の所まで、収集運搬する場合(東京都から滋賀県に直行するものとします)

積み込む場所⇒東京都
降ろす場所   ⇒滋賀県

ですので、東京都滋賀県の2ヶ所の許可が必要です。
なお、東京都から滋賀県までの間、たくさんの県を通って運搬していますが、「産業廃棄物」を途中の県(例えば神奈川県)で降ろさない限りは、その通過する県の「収集運搬業」の許可は不要です。


例2

大阪府高槻市内で排出された「産業廃棄物」を、兵庫県神戸市内の「中間処理業者」の所まで、収集運搬する場合

積み込む場所⇒大阪府高槻市
降ろす場所  ⇒兵庫県神戸市

高槻市と神戸市は保健所政令市ですが、2010年の廃棄物処理法改正により、政令市以外でも収集運搬を行う場合は、都道府県知事の許可のみで運搬可能となりましたので、実務的には、大阪府と兵庫県の許可ではなく、大阪府兵庫県の2ヶ所の許可を取得することをお奨めします。
大阪府内では高槻市内のみ、兵庫県内では神戸市内のみしか収集運搬をしないという場合は、高槻市と神戸市の許可を受ければそれぞれの市内で運搬可能ですが、いつ何時政令市外で運搬の仕事が来るかはわかりませんので、最初から都道府県全域で運搬を行える許可を取る方が効率的だからです。


2.次は、どのような許可を取る必要があるのかを確認します。

ある自治体の許可を初めて取る時は、「新規許可」
産業廃棄物処理業の許可の有効期間は5年間なので、5年後に再度許可申請する時は、「更新許可」
「木くず」「金属くず」などの、取扱品目を追加する場合や、「積替え・保管を含まない」から「積替え・保管を含む」に事業を変える場合は、「変更許可」 になります。


3.申請が必要な自治体に、以下の書類の全てを揃えて申請します。

各自治体によって、取扱が若干違う場合がありますので、「廃棄物処理法」で定められている、どの自治体でも共通して必要な書類について、説明します。

1.許可申請書(次の事項を記入するようになっています)

・氏名、名称、住所、法人の場合は代表者の氏名
・事業の範囲(取扱う産業廃棄物の種類などを書きます)
・事務所及び事業場の所在地
・産業廃棄物処理業の許可を持っている場合は、その許可番号
・収集運搬器材(車輌や運搬容器)の種類及び数量
・積替え・保管を行う場合には、積替え・保管の場所に関する書面(所在地、面積その他)
・申請者が未成年者の場合は、法定代理人の氏名及び住所
・申請者が法人の場合は、役員の氏名及び住所
・申請者が法人の場合で、発行済株式総数又は出資金額の5%以上を有する株主、出資者の氏名及び住所、株式数又は出資金額
・政令使用人がいる場合は、その氏名及び住所


2.事業計画概要書(産業廃棄物の排出元や処分先などについて記載)

3.事務所・事業場の位置図及び平面図
・積替え・保管を含む場合は、保管場所の平面図、立面図、断面図、構造図、設計計算書、付近見取図

4.申請者が「3」の施設の所有権を有することを証明できる書面

5.「産業廃棄物の許可申請に関する講習会」の収集運搬課程の受講修了証の写し
・「新規許可」の場合は、「新規」課程の受講修了証の写し(ただし、既に産業廃棄物収集運搬業の許可を他で取っている場合は、「更新」課程でも可)
・「変更許可」の場合は、「新規」課程又は「更新」課程の受講修了証の写し
・「更新許可」の場合は、「新規」課程又は「更新」課程の受講修了証の写し

6.事業の開始に要する資金の総額、その資金の調達方法を記載した書類(「新規許可」及び「変更許可」のみ)

7.申請者が法人の場合
・直前3年分の「貸借対照表」「損益計算書」「(法人税)納税証明書」
・定款又は寄附行為、登記簿謄本
・役員全員の住民票の写し及び登記事項証明書(後見登記等に関するもの)
・発行済株式総数又は出資金額の5%以上を有する株主、出資者の住民票の写し及び登記事項証明書(後見登記等に関するもの)、株主・出資者が法人の場合は、登記簿の謄本

8.申請者が個人の場合
・「資産に関する調書」及び直前3年分の「(所得税)納税証明書」
・住民票の写し及び登記事項証明書(後見登記等に関するもの)

9.申請者が未成年者の場合、法定代理人の住民票の写し及び登記事項証明書(後見登記等に関するもの)
※「更新許可」の場合で、「新規許可」の時から「2」「3」「4」の内容に変更が無ければ、「2」「3」「4」の書類の提出は不要の場合がほとんどです。一部自治体は、省略不可の場合有り。


4.許可証の出来上がりを待ちます。
申請の際、もっとも問題になりやすいのが、「事業計画概要書」「貸借対照表」「損益計算書」「納税証明書」の4つです。他の添付書類に問題がなければ、許可証の出来上がりを待つだけとなります。
関係者が欠格要件に該当しない限り、書類上問題が無ければ、必ず許可されます。役所からの連絡を楽しみにお待ちください。

ただし、「積替え・保管を含む」収集運搬業の場合は、いきなり許可申請をしても、ほとんどの自治体が受け付けてくれません。「産業廃棄物処理施設の設置」や「産業廃棄物処分業」と同様に、事前協議を義務付けているところがほとんどです。
そのため、「積替え・保管を含む」収集運搬業の許可申請をする場合は、できるだけ早い段階で、「積替え・保管」を行う場所を所轄する自治体に、事前協議することが重要です。