いきなり逮捕されないための基礎知識

vol.120 いきなり逮捕されないための基礎知識

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09/01/23号
 
 このメルマガでも既にお伝えしたところですが、地中に埋めた石膏ボードか
ら有毒ガスの硫化水素を発生させた、「東横イン」の元社長の初公判が行われ
ました。

 ※朝日新聞
 

 報道によりますと、2004年10月1日、元社長自身が取締役会において、
 建設廃材の処理費用を安くする目的で、「現場に穴を掘って産廃を捨て、
最後にアスファルトで埋めてはどうだろうか」と発言。

 同年10月24日、「ホテルの地下室に廃材を投棄する」という部下の提案
についてメールで承諾した

 とのことです。


 社長(当時)の発言にも問題がありますが、違法な指示に積極的に従った部
下の姿勢にも大いに問題があります。


 2004年10月と言えば、岐阜市の善商不法投棄事件の関係者が警察に逮
捕された頃です。


 その事件にヒントを得て、東横インの元社長は不法投棄を思いついたので
しょうか?


 あれだけ事件が大きく報道されていたのに、元社長と部下の全員が、廃材を
埋めることを違法だと思わなかったのでしょうか?


 可能性は2つあります。


 1つ目
 違法と言うことは知っていたが、「これくらいなら問題ないだろう」
と思い、経費削減のため、不法投棄に踏み切った。

 2つ目
 「自社の土地だから廃材を埋めても違法ではない」と思っていた。つまり、
法律の規定を知らなかった。


 不法投棄に踏み切った本当の理由は当事者にしか分かりませんが、上記の
いずれの可能性を採用したとしても、「廃棄物処理法への無理解」が根底に
あったことは間違い無さそうです。



 「東横インはコンプライアンスがなっていない!」と批判するのは簡単です
が、批判をする前に、自らも正しく廃棄物処理法の規定を理解しているかを省
みる必要があります。


 一般的な感覚では、「自分の土地にゴミを埋めても問題は無い」と考える方
が多いのではないかと思います。


 「今回は有毒ガスが発生したから逮捕されたけど、誰にも迷惑をかけないな
ら、ちょっとくらい埋めても大丈夫だ」と、ついつい考えてしまいませんか?


 しかしながら、廃棄物処理法の規定では、周囲に迷惑をかけたかどうかに
関係なく、たとえ自分の土地であったとしても、廃棄物を許可なく地中に埋め
ることは大罪となります。


 廃棄物処理法では、
 最高で5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはこれの併
科という、一番重い刑罰が予定されています。


 こんな重い刑罰が予定されているなんて知らなかった人が大半ではないで
しょうか。


 東横インの元社長がここまで知っていたら、彼は不法投棄を指示しなかった
かもしれません。


 「ゴミを埋めていはいけないんだよ」と、道徳的に理解するだけでは不十分
なのです。


 日本でビジネスをする以上は、最低でも

 「法律を知らずに犯すリスク」
 「違反に対するペナルティの大きさ」
 「違反が発覚した際に社会から受ける批判の影響」

 などを十分に検討し、それらに対する策を準備しておくことが必要です。


 不祥事から学ぶべき点も多いものですね。