vol.121 廃プラスチック輸出急減の勢い止まらず
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09/01/30号
当事務所では、毎月顧客向けにニュースレターを発行しております。
その中で、「廃プラスチック」の輸出量の増減を定点観測し、最新の統計資
料を情報提供するコーナーがあります。
今回は、そのコーナーからの抜粋になります。
2008年の10月から、それまで旺盛だった廃プラスチックの輸出量が
急減し始めました。
その模様は、このメルマガでも既にお知らせしたところです。
※ #117 「廃棄物処理への不況の影響」
2008年11月に入っても、輸出急減の勢いは止まらず、むしろ10月
よりも悪化いたしました。
PETくずにいたっては、輸出量が前年同月比で66.2%にまで急落し、
平均輸出価額は10月の63円から、一気に43円にまで低下してしまいまし
た!
PETくずのみならず、PE、PS、PVCとすべての廃プラスチックの輸
出量が急減しておりますので、世界的な経済危機の影響をまざまざと見せつけ
られた思いがします・・・
とは言え、「不況で大変だ!大変だ!」と叫び続けても仕方がありません。
中国向けの輸出が止まったことで、国内でそれを処理しなければならなくな
りました。
グレードの高い廃プラスチックと低いものを一緒くたにして、タダ同然の
低価での有価物扱いにするという取引が成立しなくなったのは確実です。
いくら不況が進んだとしても、グレードの高いプラスチックのリサイクル
需要が消えることはありません。今回の金融危機によって、そういった価値の
高いものが、廃棄物、あるいは無価物として、再び廃棄物処理市場に供給され
る流れも出てきました。
資源として廃プラスチックを有効に活用していくためには、「売れれば良い」
ということではなく、資源として円滑に流通させるに足る「質」と「量」を
維持していかねばなりません。
そのためには、
排出事業者としては、ハイグレードなリサイクル原料として売却できるよう、
廃プラスチックの管理をより適切に行っていく必要があるでしょう。
一方、廃棄物処理業者やリサイクル業者の場合は、取り扱えるプラスチック
の品質基準を明確にし、それを排出事業者と情報共有することによって、
「リサイクル材のサプライチェーン」とも言うべき、協業体制を構築していく
必要があるでしょう。
日本としては、国外輸出を急には増やせない以上、この機会を前向きにとら
え、国内での資源循環網を早急に整備したいところです。
しかしながら、平成21年度の各省庁の予算では、国内での資源循環網整備
の可能性について、あまり考慮されていないようです。残念。