廃品回収にはご注意を

vol.131 廃品回収にはご注意を

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09/05/29号

 
 今回のメルマガでご説明する「廃品回収」とは、
 「古紙」「空き缶」「古着」「くず鉄」などを回収されている、本来のリサ
イクル業者さんのことではありません。


 「古紙」などを回収する業者さんは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
で、「専ら再生利用の目的となる廃棄物のみ」を回収する事業者として、廃棄
物処理業の許可が不要となっています。


 この許可不要な回収対象物を「専ら物(もっぱらぶつ)」と略称しています。


 今回のメルマガでご説明する廃品回収業とは、「専ら物」以外の廃棄物、
 具体的には「電化製品」などを処理費を徴収しながら回収する行為を指しま
す。



 独立行政法人国民生活センターの公表によると
 http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/sn-20071220.html


 「当初"無料"をうたっていたのに作業後に料金を請求された」
 「見積りより高額な料金を作業後に請求された」 等の廃品回収をめぐる
トラブルが、全国各地で発生しているそうです。



 「無料でテレビを回収します」という音声をマイクから流しながら、
軽トラックなどで住宅地を巡回する姿が一般的ですが、「無料」という言葉に
つられて、あれもこれもと廃品を手渡していくと、安くはない引取り費用を請
求されるというトラブルが続発しているわけです。


 「無料」と触れ込みながら「引取り費用」を請求するわけですから、悪徳商
法であることは間違いありませんが、このような行為は法律上問題にならない
のでしょうか


 廃品回収業者の行為を分解すると

1.一般家庭で使用しなくなったテレビなどの電化製品を

2.「引取り費用」、あるいは「リサイクル料」と称して、料金を請求する

 という2つに分解して考えることが可能です。


 廃家電などの廃品は一般家庭から発生した不用品ですので、それを「邪魔だ
から処分しよう」という意思の元で処分を進める場合には「一般廃棄物」にな
ります。


 「いや 私は使わないけれど、まだ使える電化製品だから、リサイクル
ショップに買取ってもらおう」と思い、リサイクルショップに持ち込む場合は、
「一般廃棄物」ではなく、「古物営業法」でいうところの「古物」になります。


 そのため、「このTV もう使えないから引取ってください」と、元々の所
有者が思っている場合は、その廃品等は「一般廃棄物」として扱う必要があり
ます。


 我々が使わなくなった(事業活動に伴うものを除く)廃品は「一般廃棄物」に
なりますので、それを引取る側の事業者には、「廃棄物の処理及び清掃に関す
る法律」に基づく、一般廃棄物処理業の許可が必要となります。


 仮に無償で廃品を引取ったとしても、「再使用」が前提でない以上は、一般
廃棄物処理業の許可が必要です。


 一般廃棄物処理業の許可の内容を具体的に説明すると、

 A地点からB地点に一般廃棄物を運搬する場合、
 A地点が位置する市町村長と、B地点が位置する市町村長の両方から
 「一般廃棄物収集運搬業」の許可を取得しなければなりません。


 例えば、大阪市の一般廃棄物を、堺市まで運びたい場合は、大阪市長と堺市
長の両方の許可が必要となります。


 しかし、産業廃棄物とは違い、一般廃棄物の場合は各市町村の廃棄物処理計
画によって、申請をしても全員に許可が下りるわけではありませんので、事実
上、日本全国の市町村長から許可をすべて取得することは不可能です。


 いえ、正確にいうならば、ある自治体に「一般廃棄物収集運搬業」で新規参
入すること自体が著しく困難です。


 そのため、廃品回収業者の大部分は、無許可で一般廃棄物の回収を行ってい
ます。

※繰り返しになりますが、冒頭でご説明した「専ら物」の事業者は、一般廃棄
物処理業の許可取得が不要です。


 これらの観点から考えると、

 TVなどの廃品回収を有料で行っている事業者で、一般廃棄物収集運搬業な
どの許可を持っていない場合は、すべて違法営業ということになります。


 このようなモグリの悪徳業者とは関わりを持たないことが賢明です。


 アウトサイダーには「営業許可」という失うものが無いため、彼らと接触を
すると、強引な営業をかけられることがよくあります。


 つい最近、市町村の粗大ゴミ回収費用の5~6倍の処理費を徴収し、高齢者
などの弱みにつけ込んで荒稼ぎをしていた「便利屋」が逮捕されました。

 ※毎日新聞
 http://mainichi.jp/area/gifu/news/20090522ddlk21040070000c.html


 高齢者や体が不自由な方の場合、家の外に廃品を持ち出すことが困難なこと
が多く、料金が高いとしても、アウトサイダーの力に頼らざるを得ないという
問題もあります。


 無法者は、そういった弱みにつけこむのが得意技です。


 無法者に頼るのではなく、
 家族やご近所、あるいはボランティア団体などの周囲のちょっとした善意に
よって、ゴミの適切な処理を進めたいところですね。