事業系ゴミは家庭ゴミの収集場所に捨てられません

vol.138 事業系ゴミは家庭ゴミの収集場所に捨てられません

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09/10/02号

 
 オフィスから発生した紙ゴミなどを、地域の家庭ゴミの回収場所に安易に出
していませんか?


 工場やビルのテナントに入っている会社なら、ゴミをそんな風に出すことは
ないと思われますが、住宅地に事務所を構える小規模な会社の場合、会社の制
服を着た人が、当り前のように地域のゴミ回収場所にゴミを出していることが
あります。


 実はこのような行為
 最寄りの市町村が、「会社のゴミですか。少量なら地域の回収場所に出して
くれたら、無料で回収してあげますよ」と言ってくれる場合以外は、すべて
不法投棄になってしまいます!


 え!?ゴミを所定の日、所定の場所に捨てているのに、なぜ不法投棄なの!


 それは、廃棄物処理法第3条で
「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に
 処理しなければならない。」 と定められているためです。


 地域の回収場所に事業系ゴミを置くということは、本来なら事業者自らが処
理しなければならない廃棄物を、「みだりに」投棄したということになります。


 産業廃棄物なら、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の運用が必要な廃棄物
として、排出事業者責任が広く(いまだ十分とは言えませんが)認識されてい
るところですが、「事業系一般廃棄物」の場合は、排出事業者責任がそれほど
認識されていません。


 上記の廃棄物処理法第3条は、事業活動に伴って生じた廃棄物としか規定さ
れておらず、「産業廃棄物」「一般廃棄物」の区別無く、「事業者は、すべて
の廃棄物について責任を持って処理せよ」という意味になります。


 とは言え、すべての事業系一般廃棄物を、排出事業者自らの力で処理させる
ということは、石油や電気などのエネルギーの無駄遣いですし、小規模施設で
の不適切な焼却ばかりが増え、逆に環境を悪化させることになります。


 そのため、現実的な対応としては、市町村の大規模な焼却炉において、生活
系一般廃棄物と一緒に事業系一般廃棄物を一緒に焼却処分しています。


 ただ、事業系一般廃棄物の場合は、生活系一般廃棄物と違い、市町村の焼却
炉で処理してもらうための料金を、排出事業者自身が負担しなければなりませ
ん。


「元々は、排出者が処理しなければならないところ、行政が代わりに燃やして
 あげるのだから、一定の料金を負担しなさい」ということになります。


 山梨日日新聞に、甲府市における事業系ゴミ対策の実情が紹介されています。
 http://www.sannichi.co.jp/local/news/2009/09/29/1.html

 山梨日日新聞の報道によると

 事業者が、事業系ゴミを家庭ゴミ収集場所に出す理由としては
 ・少量だから
 ・経営が厳しいから

 というものが多かったそうです。


 事情はどうあれ、法律的な整理としては、事業系廃棄物を家庭ゴミの収集場
所に出すのは違法行為ですので、言い訳にならない言い訳をするのではなく、
企業としての責任をキチンと果たしていかねばなりません。


 今一度、事業系廃棄物の出し方に問題が無いか再点検してみてくださいね。