廃棄物処理の仲介に許可は必要?

vol.140 廃棄物処理の仲介に許可は必要?

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09/10/16号

 
 最近よく聞かれる質問に
「廃棄物処理業者と排出事業者の取引の仲介に、廃棄物処理業の許可は必要で
 すか?」
 というものがあります。


 日本の廃棄物発生量は、今後減ることはあっても、増加することはなさそう
ですので、廃棄物処理関連ビジネスとして、「仲介ビジネス」に活路を見出す
企業が増えています。


 仲介ビジネスとは、
 排出事業者に最適な処理業者を紹介し、仲介手数料として、一定のマージン
をいただくビジネスのことです。


 仲介サービスを利用すると、

(排出事業者)
・自社で中間処理業者を探しまわる手間が不要となる
・直接取引できないような企業でも、仲介会社を通すことによって、委託契約
 が可能となる

(処理業者)
・受け入れ基準に合う廃棄物を安定的に集めることが可能となる

 といったメリットが生まれます。


 それとは逆に、仲介サービスの使い方を間違えると、次のようなリスクが発
生してしまいます。

・ブローカーまがいの無責任な仲介により、契約とは違うルートで廃棄物を違
 法に処理されてしまう
・不当に高いマージンを請求されてしまう



 このように、使い方さえ間違えなければ、仲介サービスを有効に活用するこ
とが可能となります。


 ここで、今回のメルマガの本題に戻りまして、「仲介に業許可は必要か?」
について解説します。


 結論から申し上げると、純然たる仲介のみである場合は、廃棄物処理業の
許可は不要です。


 純然たる仲介は、廃棄物の運搬や処理に携わらず、当事者間の取引をつなぐ
のみにすぎないからです。


 このあたりの解釈は、廃棄物処理法を読んでも明確に書かれていません。
 過去、旧厚生省時代に、仲介行為には業許可が不要という通知が出された程
度です。
 しかし、肝心なこの通知を、環境省は現在HP上で公開しておりません。


 どうしても、その通知の内容を読者の方にもお知らせしたかったので、平成
10年度の廃棄物六法を古本屋で購入しました(笑)。

 
 平成10年当時は、まだ堂々と?通知の内容を公開していましたので、廃棄
物六法にもしっかりとその通知が掲載されていました。


 通知文の詳細は、下記のブログにアップしております。
  http://www.ace-compliance.com/blog/01kihon/091016fee.html


 再び本題に戻ります。
 仲介会社は、廃棄物の運搬や積み込み、保管を行うことがまったくできませ
ん。


 それをしたい場合は、廃棄物処理法の原則どおり、業の許可を取得する必要
があります。



 ここで、業の許可無しに仲介行為が認められる条件を整理してみます。

(条件1)
 仲介会社は、いかなる廃棄物処理にも携わらないこと

(条件2)
 廃棄物の処理委託契約は、排出事業者と処理業者が直接契約すること
※先述したように、排出事業者と仲介会社の間で、廃棄物処理委託契約を締結
 することはできません。

(条件3)
 マニフェストは、仲介会社の名義ではなく、排出事業者自身が発行すること
※仲介会社は廃棄物の排出事業者ではありませんので、これも当然の条件です。

(条件4)
 排出事業者が処理業者に支払う正味の料金を、廃棄物処理委託契約書に記載
すること
※委託料金は、委託契約書の法定記載事項ですので、正確な委託料金を記載す
 る必要があります。



 え!それじゃあ 仲介会社を契約書に登場させることはできないのか?


 いえいえ 契約書に登場しない相手と取引するのは怖いですよね。
 私としては、契約書によって、仲介会社とも契約を結ぶべきと考えています。

 これは単なる一例ですが、
 例えば、「委託料金の支払い方法については、別途定める」と決めておき、
 別途、排出事業者と仲介会社、処理業者の3者によって、料金の支払い方法
について契約し、廃棄物処理委託契約と一緒に保存しておくことをお薦めしま
す。


 こうしておけば、
 廃棄物の委託契約は、廃棄物処理法の原則どおり、排出事業者と処理業者の
直接契約
 仲介会社に支払うマージンや支払いの流れについては、排出事業者と仲介会
社、処理業者の3者契約 という形で、明確に文書化できます。



 排出事業者と中間処理業者は、仲介サービスを適切に利用することで、信頼
できるビジネスパートナーを確保し

 収集運搬業者は、多くの処理企業の情報を有するプロフェッショナルとして、
仲介ビジネスにも活路を見出していただければと考えています。