vol.145 最新版一般廃棄物の処理状況(平成19年度実績)
無料メールマガジン「よく分かる!!廃棄物問題」へのご登録はこちらからどうぞ
09/12/11号
環境省から、「一般廃棄物の処理状況(平成19年度実績)」が発表されま した。 ※ http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=11837 以下、環境省の発表から気になる部分を抜粋・転記します。 1.ごみの排出・処理状況 (1)ごみ排出の状況:ごみ総排出量、1人1日当たりのごみ排出量ともに減少 ・ごみ総排出量 5,082 万トン(前年度 5,202 万トン)[ 2.3 % 減 ] ・1人1日当たりのごみ排出量 1,089 グラム(前年度 1,115 グラム)[ 2.3 % 減 ] (2)ごみ処理の状況:総資源化量・リサイクル率は着実に増加、最終処分量は 前年比6.8%減少。 ・総資源化量(再生利用量) 1,030 万トン(前年度 1,020 万トン)[ 1.0 % 増 ] ・中間処理による減量 3,412 万トン(前年度 3,505 万トン) ・最終処分量 635 万トン(前年度 681 万トン)[ 6.8 % 減 ] ・減量処理率 97.5 % (前年度 97.5%) ・直接埋立率 2.5 % (前年度 2.5%) ・リサイクル率 20.3 % (前年度 19.6%)[ 0.7 ポイント増 ] (尾上の見解 ここから) まず、一人当たりの一般廃棄物排出量が減少という点は、市民の間に、ごみ 減量意識が浸透してきたということで朗報です。 「指定袋の導入」などにより、ごみ処理を有料化する自治体が増えているた め、市民の意識とは関係なく、否応無しにごみ減量化をしなければならない背 景があるのかもしれません。 最終処分量が6.8%減と大幅に減っていることにも、注目しなければなり ません。 最終処分量が減った分、リサイクル量が増えたわけでもなさそうですので、 埋立可能な最終処分場が枯渇しつつあるため、各自治体が必死に最終処分量を 削減し始めた証なのかもしれません。 (尾上の見解 ここまで) 2.ごみ焼却施設の状況: * ごみ焼却施設の集約化により施設数は減少。1施設当たりの処理能力は 微増。 * 発電設備を有する施設は全体の23.0%。総発電能力は増加。 (平成19年度末現在) ・施設数 1,285 施設 (前年度 1,301 施設) [ 1.4 % 減 ] ・処理能力 189,144 トン/日(前年度 190,015 トン/日) ・1施設当たりの処理能力 147 トン/日(前年度 146 トン/日) ・余熱利用を行う施設数 856 施設 (前年度 877 施設) ・発電設備を有する施設数 298 施設 (前年度 293 施設) (全体の23.0%) ・総発電能力 1,604 千kW (前年度 1,590 千kW) [ 0.8 % 増 ] (尾上の見解 ここから) 焼却施設の統廃合が進み、焼却炉の数自体は前年より減少していることがわ かります。 その一方で、焼却熱を利用した発電量は、14千kW増加しています。 ちなみに、政府の目標では、平成24年度までに焼却施設による発電能力を 2,500千kWにまで引き上げるとされています。 残り5年で目標を達成するためには、発電量があと900千kW足りないという ことになりますので、平成19年度実績から考えると、平成24年までに、 焼却施設の総発電量を2,500千kWまで上げるのは相当困難と言えそうです。 それは、行政の財政が逼迫しつつある中、発電能力を持った焼却炉がドンド ン建設されるとは考えにくいからです。 既存の焼却炉に発電施設を増設する場合でも、日本の焼却炉は含水率の高い 廃棄物を高温で燃やさねばならないという制約があるため、簡単には発電能力 を増強することができません。 (尾上の見解 ここまで) 3.最終処分場の状況: * 残余容量は平成10年度以降9年間続けて減少、最終処分場の数は平成8年 度以降11年間続けて減少し、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況。 * 最終処分量が減少していることから、残余年数は横ばい。 * 関東ブロック、中部ブロック等では、最終処分場の確保ができず、域外に 廃棄物が流出し、最終処分が広域化。 (平成19年度末現在) ・残余容量 1億2,202 万m3(前年度 1億3,036 万m3)[6.4%減] ・残余年数 15.7 年 (前年度 15.6 年) (尾上の見解 ここから) 最終処分場の残余年数((現在のペースで埋立を続けた場合に、最終処分場が 満杯になるまでの年数))は、「15.7年」と書かれています。 地域によっては、自区内に最終処分場を有しない自治体があるため、そのよ うな地域の場合は、最終処分場の残余年数が「0年」となり、他の地域に廃棄 物の最終処分を頼むしかありません。 15.7年は日本全国を平均した結果です。 残余年数は、最終処分場の新設や、最終処分量の削減により、延びていくも のですので、きっかり16年後に最終処分場が枯渇するということにはなりま せんが、簡単には最終処分場を設置できない以上、どの地域にも等しくかかっ てくる問題でもあります。 (尾上の見解 ここまで)