規制改革会議

vol.147 規制改革会議

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10/01/08号

 
 昨年12月4日に、第5回規制改革会議が開催され、今後の規制改革テーマ
について審議されました。


 元々は、昨年8月中に中間とりまとめをする予定だったそうですが、昨年9
月の政権交代に伴い、12月まで延び延びになったようです。


 廃棄物関連では、「今後の改革課題」として、
 1.廃棄物の定義の見直し
 2.一廃・産廃区分の再定義  が課題として挙がっています。


 その他、「今すぐ取組むべき課題」として、
 「木くずなどのバイオマス資源の利用に関する規制緩和」が挙げられていま
す。


 規制改革会議の提言の概要は下記のとおりです。

「リサイクル可能である場合には、無価物・逆有償物であっても廃棄物処理法
の規制を適用除外とし、廃棄物を再生資源として最大限活用するべき」


「一般廃棄物と産業廃棄物の区分を、『1.拡大生産者責任にて処理を行う製品
廃棄物』『2.家庭から排出される塵芥・厨芥』『3.一般家庭から排出される自
治体の処理困難物も含めたその他廃棄物』に再分類し、2についてのみ自治体
責任とする等、処理効率が高く、明確に判断が可能な状態とするべき」


「森林バイオマス利用の支障となる行政手続の簡素化をするべき」



 一見すると、ぜひ実現してもらいたい規制緩和に見えますが、いずれも規制
緩和をしなければならない理由を十分には説明していません。


 また、特に「リサイクル可能物には廃棄物処理法の適用を除外するべき」と
いう提言には、現実を直視せずに理想のみを語る危うさを感じます。


 豊島不法投棄事件に始まり、最近では石原産業フェロシルト事件に至るまで、
「リサイクル可能なものだから廃棄物ではないのだ」という欺瞞が、各地で
大規模な不法投棄事件に発展した歴史を忘れてはいけません。


 「廃棄物を再生資源として最大限活用する」という理念は保持しながら、
リサイクルという美名の下で犯罪をさせないよう、規制もしっかりとやるべき
です。



 今回の中間とりまとめを見ると、廃棄物分野に限って言えば、「規制」を
スケープゴートにしただけで、現実的な解決策を模索した様子が見受けられ
ません。


 ただし、「一廃と産廃の区分の再定義」に関しては、民主党の政権公約にも
合致する内容ですので、何らかの形で実現する可能性はあるかもしれません。


 もっとも、規制改革会議の提言のように、先に「生活系一般廃棄物」を定義
して、産業廃棄物を含めたその他の廃棄物をすべて「その他の廃棄物」と大雑
把に分類するのは乱暴すぎます。


 廃棄物の定義は非常に重要なことですので、拙速に物事を進めるのではなく、
国の将来像を見据えたうえで、今後の日本に役立つ定義(区分)にしてもらい
たいものです。



 規制改革会議が提言したそれぞれの項目の詳細はブログで解説していますの
で、関心のある方は下記をご参照ください。

 廃棄物の定義の見直し
 http://www.ace-compliance.com/blog/03gyousei/091221teigi.html

 一廃・産廃区分の再定義
 http://www.ace-compliance.com/blog/03gyousei/100104bio.html

 木くずなどの利用に関する規制緩和
 http://www.ace-compliance.com/blog/03gyousei/100106bio.html