現地確認の義務化

vol.156 現地確認の義務化

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10/04/02号

 

 廃棄物処理法の改正ポイントの解説第3回目です。


 今回は、2010年の廃棄物処理法改正で予定されている
 現地確認の義務化について解説します。


 第12条第7項
「事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場
合には、『当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、』当該産業廃棄
物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理
が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」

※廃棄物処理法改正案は、下記のURLで全文を参照できます。
 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=12222


 『 』で囲った部分が、今回の法改正で追加される部分です。


 条文を読むと、どこにも「現地確認」とは書いてありませんが、廃棄物処理
制度専門委員会での議論の状況や、マニフェストの存在を考え合わせると、書
面による確認ではなく、実際に処理現場に赴いて確認をすることが求められて
いる、と考える必要があります。


 今でも、委託した産業廃棄物が処理された日付けについては、マニフェスト
で確認していますので、処理日のような単なる事実ではなく、その場所で確実
な処理が行われているかという、抽象度の高いレベルの確認が要求されること
になります。


 義務化されるといっても、懲役や罰金が伴うような義務ではありません。
 委託先業者の現地確認は、罰則無しの努力義務に近い位置づけです。


 しかし、努力義務だからといって、現地確認を一切行わないというのも危険
です。


 努力義務を怠っても直接的な刑事罰には結びつきませんが、万が一、不法投
棄などに巻き込まれた場合に、委託先の処理業者の処理状況を確認した形跡が
無ければ、委託者の責任を満足に果たしていなかったとみなされ、廃棄物の撤
去費用の負担などが求められることになります。


 今までは、委託契約書とマニフェストという、目に見える形で義務を果たし
ておけば良かったところに、「確認」という抽象的な義務が入ってくるわけで
す。


 「罰則が無いから対応する必要なし」では済まないリスク要因と言えます。


 次回のメルマガでは、現地確認の具体的な注意点を解説します。