「産業廃棄物処分業の許可申請に必要な条件」 で説明した基準については、あくまでも「廃棄物処理法」のものになります。
言わば、「産業廃棄物処分業」の許可を取るための、最終段階の話になります。
実は、大きな問題が、その最終段階へ進む前に残っています。
それが、「事前協議」というもので、ほとんどの自治体がこの制度を設けています。
具体的に、「事前協議」の中身について見ていきましょう。
「事前協議」とは、「事前に」「協議する」という意味ですね。では、誰と「協議する」のでしょうか?
その相手は2つあります。「行政」と「地元住民」です。
まず「行政」について説明します。
皆さんもご存知のとおり、役所には色々な部局があります。
「産業廃棄物処分業」でしたら、各自治体の「産業廃棄物担当部局」が、全面的な担当部局となります。
そのため、「産業廃棄物処分業」の許可を取りたい時は、まず「産業廃棄物担当部局」へ相談に行かれると思います。
ここから、「産業廃棄物処理施設とは(その2) 」で説明した内容を、再度掲載します。
第1段階 |
設置予定場所の都道府県、保健所設置市の場合は市の産業廃棄物担当部局へ相談に行く。
そうすると、「建築基準法」と「都市計画法」の担当部局にも相談するよう言われます。
「建築基準法」や「都市計画法」の担当部局に行くと、
「用途地域が・・・」とか「開発許可が・・・」といった、色々な観点から事業計画について質問されます。「産業廃棄物処分業」の場合は、元々が迷惑施設ですので、
多くの自治体が、独自の立地規制を設けている場合がほとんどです。
絶対に申請が不可能な状況なら仕方がありませんが、解決できそうな問題であれば、丁寧に解決方法について質問しましょう。廃棄物処理法第15条の産業廃棄物処理施設に該当する施設を設置したい場合は、「建築基準法」と「都市計画法」の要件を満たす必要があります。
「産業廃棄物処分業」は、私的な営業活動になりますので、市町村のゴミ処理施設(これでも最近はもめることが多いですが)の場合と違って、その場所で営業すべき公的な理由がありません。そのため、「建築基準法」や「都市計画法」の規制を、一つ一つクリアしていく必要があるのです。道路の幅員や、直近200mに住居がないこと等、色々な課題があります。
また、「廃棄物処理法」上の問題についても、実質的には、全てこの段階で審査されます。
「施設の能力算定がおかしい」とか
「生活環境の保全に支障がある」などと 色々な指摘をされます。もし、 この段階で、どれだけ頑張っても先に進めない場合は、事業計画そのものを諦めて、他の事業を考える方が無難です。
無駄な時間とお金を使い続けることはありません。
第2段階 |
行政との事前協議がある程度進めば、
「周辺住民に事業計画を事前に説明しなさい」とか
「周辺住民の同意を取りなさい」という指示を、行政がします。「産業廃棄物処分業」が頓挫する可能性がもっとも高いのは、この段階です。
「産廃業者の進出 絶対反対!!」という看板を見かけたことはないでしょうか?地元住民が強硬な反対運動をすると、役所としてもなかなか許可をしにくい事情があります。
技術的な問題ではなく、感情的な反発は、一度対処を間違えると、修復が大変難しくなる場合がほとんどです。
しかも産業廃棄物処理施設の場合は、最初から「迷惑施設」というハンディキャップを背負った状態でスタートしなければなりません。くれぐれも対応に注意してください。
第3段階 |
地元住民の合意を得られれば、ようやく「産業廃棄物処分業」の許可申請ができます。
実質的な書類審査はほとんど終わっていますので、今までに作成した添付書類を整理して、形式的に許可申請をするだけになってきます。
無事許可申請が受理されれば、あとは許可の連絡を待つのみとなります。許可申請書の内容は、次の「産業廃棄物処分業の許可の取り方」で説明します。