Q5:事業活動によって発生した「ごみ」は、全て「産業廃棄物」になるの?
A5:
20種類の「産業廃棄物」の内訳と、具体的な例については「産業廃棄物とは(その1)」の表1を見ていただくとして、ここでは注意が必要なことについてご説明します。
まず、20種類ある「産業廃棄物」のうち、特定の業種から排出された「ごみ」だけに限定されるものが、7種類あります。
それは、「紙くず」「木くず」「繊維くず」「動植物性残さ」「動物系固形不要物」「動物のふん尿」「動物の死体」の7つです。
そのため、 事業活動によって生じた廃棄物であっても、例えば、普通の会社で事務用に使ったメモ用紙などは、「産業廃棄物」ではなく、「(事業系)一般廃棄物」になります。それは、下の表にありますように、産業廃棄物の「紙くず」とは、建設業、新聞業、出版業その他の特定の業種から発生した「紙くず」だけに限定されるからです。
紙くず | 建設業、パルプ、紙又は紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業に係るものに限定 |
木くず | 建設業、木材又は木製品製造業、家具製造業、パルプ製造業、輸入木材卸売業に係るものに限定 |
繊維くず | 建設業、繊維工業に係るものに限定 |
動植物性残さ | 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業で、原材料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物に限定 |
動物系固形不要物 (狂牛病騒動で、H13年に追加されました) |
と畜場において処分した獣畜及び食鳥処理場において処理した食鳥に係る固形状の不要物 |
動物のふん尿 | 畜産農業に係るものだけに限定 |
動物の死体 | 畜産農業に係るものだけに限定 |
「建設業」が4つも出てきますね。これは、「『建設業』だけで『産業廃棄物』全体の20%を占めているので、狙いを定めて、特に厳格に排出を抑制し、キチンと処理をさせる必要がある」と国が思っているからなのです。
上の表の7種類以外の、事業活動によって生じた廃棄物はすべて「産業廃棄物」になります。
「廃プラスチック」とか「金属くず」ですね。これらは業種限定がありません。
Q6:それじゃあ これって産業廃棄物?(一問一答)
Q:山を切土して発生した土は?
A:土は自然物なので、廃棄物にはあたりません。
Q:浚渫土は?
A:土ですので、廃棄物にはあたりません。ただし、「廃油」などの他の産業廃棄物が混入している場合は、産業廃棄物になります。
Q:グリ石は?
A:石も自然物なので、廃棄物にはあたりません。
Q:ガスは?
A:ガスは気体なので、廃棄物にはあたりません。
Q:放射性廃棄物は?
A:民間レベルで処理できるものではありませんので、「廃棄物処理法」上の廃棄物にはあたりません。
Q: 牛の糞を肥料として売りたいんだけど、この場合でも「産業廃棄物」になるの?
A:相手に売る場合は、「廃棄物」ではなく「有価物(ゆうかぶつ)」になりますので、「産業廃棄物」にはあたりません。
ただし、運搬費等を別途相手から要求され、結局、売却によって得られる金額以上にお金を支払う場合には、「産業廃棄物」になりますので、「産業廃棄物処理業」の許可を持った相手でないと、牛の糞を引き渡すことはできません。
具体的には、このような計算になります。
Aさん 牛糞を5000円で売却 ← Bさん 牛糞を5000円で購入・・・・・・・・・・牛糞は「有価物」になります。
(Aさんの手元には5000円が残る)
Aさん 牛糞を5000円で売却 ← Bさん 牛糞を5000円で購入
Aさん 運搬費として1万円支払う ⇒ Bさん 運搬費として1万円を要求・・・・・・・牛糞は「産業廃棄物」となります。
(Aさんの手元にはお金が残らない)
Q7:産業廃棄物のことはよく分かったけど、病院から出た「ごみ」は「産業廃棄物」のどれに当てはまるの?
A7:
実は、病院から出た廃棄物で感染性のあるものは、「特別管理産業廃棄物」と呼ばれます。「特別管理産業廃棄物」の具体的な内訳は、下表のとおりです。「特別管理産業廃棄物」は、「産業廃棄物」以上の、特に厳格な対応が求められますので、取扱には注意が必要です。
特に、感染性廃棄物の場合は、密閉容器による収集運搬が必要となります。
表2 特別管理産業廃棄物の種類
種 類 内 容 (1) 廃油 揮発油類,灯油類,軽油類(引火点70゜C未満の燃焼しやすいもの。ただし、難燃性のタールピッチ類等を除く) (2) 廃酸 著しい腐食性を有するもの(pH2.0以下のもの) (3) 廃アルカリ 著しい腐食性を有するもの(pH12.5以上のもの) (4) 感染性産業廃棄物(※1) 医療機関,試験研究機関等から医療行為,研究活動等に伴い発生した産業廃棄物のうち,排出後に人に感染性を生じさせるおそれのある病原微生物が含まれ,若しくは付着し,又はそのおそれのあるもの (5) 特定有害産業廃棄物 廃PCB等 廃PCB(原液)及びPCBを含む廃油 PCB汚染物 1.PCBが塗布された紙くず
2.PCBが染み込んだ汚泥,紙くず,木くず,繊維くず
3.PCBが付着し又は封入された廃プラスチック類,金属くず,陶磁器くず,がれき類PCB処理物 廃PCB等又はPCB汚染物の処理物で一定濃度以上(表3)PCBを含むもの(※2)
指定下水汚泥 下水道法施行令第13条の4の規定により指定された汚泥(表3)(※2) 鉱さい 重金属等を一定濃度以上(表3)含むもの(※2) 廃石綿等 1.建築物から除去した,飛散性の吹き付け石綿,石綿含有保温材及びその除去工事に用いられ,廃棄されたプラスチックシートなど
2.大気汚染防止法の,特定粉じん発生施設において生じたものであって,集じん装置で集められた飛散性の石綿などばいじん又は燃え殻(※1) 重金属等及びダイオキシン類を一定濃度以上含むもの(※2) 廃油(※1) 有機塩素化合物等を含むもの(※2) 汚泥、廃酸又は廃アルカリ(※1) 重金属、有機塩素化合物、PCB、農薬、セレン、ダイオキシン類等を一定濃度以上含むもの(※2) (参照:廃棄物処理法施行令第1条、第2条の4)
(備考)上記の廃棄物を処分するために処理したものも特別管理廃棄物の対象
※1 排出元の施設限定あり
※2 廃棄物処理法施行規則及び金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令(判定基準省令) に定める基準(表3) 参照