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産業廃棄物収集運搬業の許可の取り方

 では、具体的な「産業廃棄物収集運搬業」の許可申請方法です。


1.まずどの自治体の許可が必要かを調べます。

「産業廃棄物(産廃)処理業とは」で少し触れましたように、「産業廃棄物収集運搬業」は、産業廃棄物を「積み込む場所(排出事業者の所在地)」と「降ろす場所(処分委託先)」の、両方の行政の許可が必要となります。

基本的には、各都道府県の許可が必要となります。
具体的な例でご説明します。

例1

 東京都内で排出された「産業廃棄物」を、滋賀県内の「中間処理業者」の所まで、収集運搬する場合(東京都から滋賀県に直行するものとします)

  積み込む場所東京都
  降ろす場所   ⇒滋賀県

 ですので、 東京都滋賀県の2ヶ所の許可が必要です。
 なお、東京都から滋賀県までの間、たくさんの県を通って運搬していますが、「産業廃棄物」を途中の県(例えば神奈川県)で降ろさない限りは、その通過する県の「収集運搬業」の許可は不要です。

 

ただし、「廃棄物処理法」においては、「保健所設置市」も「都道府県」と同様の権限を持っています。
そのため、「保健所設置市」内で「産業廃棄物」を積み降ろしする場合は、 その「保健所設置市」の収集運搬業の許可も必要になります。

※H18.4.1より、保健所設置市から「政令で定める市」に、法的な位置づけが変更されます。
  それに伴い、従来は許可権限を持っていた小樽市が、その日以降権限を持たなくなる予定です。

保健所設置市とは、「地域保健法」第5条で定められています。具体的には、政令指定都市、中核市その他の政令で定める市のことです。

都道府県と保健所設置市の内訳は、次の表のとおりです。

都道府県名
保健所設置市
都道府県名
保健所設置市
北海道
旭川市、札幌市、函館市、小樽市
滋賀県
 
青森県
 
京都府
京都市
岩手県
 
大阪府
大阪市、堺市、東大阪市、高槻市
宮城県
仙台市
兵庫県
神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市
秋田県
秋田市
奈良県
奈良市
山形県
 
和歌山県
和歌山市
福島県
郡山市、いわき市
鳥取県
 
茨城県
 
島根県
 
栃木県
宇都宮市
岡山県
岡山市、倉敷市
群馬県
 
広島県
広島市、呉市、福山市
埼玉県
さいたま市、川越市
山口県
下関市
千葉県
千葉市、船橋市
徳島県
 
東京都
 
香川県
高松市
神奈川県
横浜市、川崎市、横須賀市、相模原市
愛媛県
松山市
新潟県
新潟市
高知県
高知市
富山県
富山市
福岡県
北九州市、福岡市、大牟田市
石川県
金沢市
佐賀県
 
福井県
 
長崎県
長崎市、佐世保市
山梨県
 
熊本県
熊本市
長野県
長野市
大分県
大分市
岐阜県
岐阜市
宮崎県
宮崎市
静岡県
静岡市、浜松市
鹿児島県
鹿児島市
愛知県
名古屋市、豊田市、豊橋市、岡崎市
沖縄県
 
三重県
   

 

例2

 大阪府高槻市内で排出された「産業廃棄物」を、兵庫県神戸市内の「中間処理業者」の所まで、収集運搬する場合

 積み込む場所大阪府高槻市
 降ろす場所   ⇒兵庫県神戸市

 高槻市神戸市は保健所設置市になりますので、大阪府と兵庫県の許可ではなく、高槻市神戸市の2ヶ所の許可が必要です。

 

2.次は、どのような許可を取る必要があるのかを確認します。

ある自治体の許可を初めて取る時は、「新規許可」
「新規許可」日から5年間で許可は失効するので、5年後に再度許可申請する時は、「更新許可」
「木くず」「金属くず」などの、取扱品目を追加する場合や、「積替え・保管を含まない」から「積替え・保管を含む」に事業を変える場合は、「変更許可」 になります。

 

3.申請が必要な自治体に、以下の書類の全てを揃えて、申請に行きます。

 各自治体によって、取扱が若干違う場合がありますので、「廃棄物処理法」で定められている、どの自治体でも共通して必要な書類について、説明します。

1.許可申請書(次の事項を記入するようになっています)

・氏名、名称、住所、法人の場合は代表者の氏名
・事業の範囲(取扱う産業廃棄物の種類などを書きます)
・事務所及び事業場の所在地
・産業廃棄物処理業の許可を持っている場合は、その許可番号
・収集運搬器材(車輌や運搬容器)の種類及び数量
・積替え・保管を行う場合には、積替え・保管の場所に関する書面(所在地、面積その他)
・申請者が未成年者の場合は、法定代理人の氏名及び住所
・申請者が法人の場合は、役員の氏名及び住所
・申請者が法人の場合で、発行済株式総数又は出資金額の5%以上を有する株主、出資者の氏名及び住所、株式数又は出資金額
・政令使用人がいる場合は、その氏名及び住所

2.事業計画概要書(産業廃棄物の排出元や処分先などについて記載)

3.事務所・事業場の位置図及び平面図

・積替え・保管を含む場合は、保管場所の平面図、立面図、断面図、構造図、設計計算書、付近見取図

4.申請者が「3」の施設の所有権を有することを証明できる書面

5.「産業廃棄物の許可申請に関する講習会」の収集運搬課程の受講修了証の写し

・「新規許可」の場合は、「新規」課程の受講修了証の写し(ただし、既に産業廃棄物収集運搬業の許可を他で取っている場合は、「更新」課程でも可)
・「変更許可」の場合は、「新規」課程又は「更新」課程の受講修了証の写し
・「更新許可」の場合は、「新規」課程又は「更新」課程の受講修了証の写し
・ほとんどの場合、受講修了証の有効年月日は、「新規」の場合は5年間「更新」の場合は2年間のみ

6.事業の開始に要する資金の総額、その資金の調達方法を記載した書類(「新規許可」及び「変更許可」のみ)

7.申請者が法人の場合

・直前3年分の「貸借対照表」「損益計算書」「(法人税)納税証明書」
・定款又は寄附行為、登記簿謄本
・役員全員の住民票の写し及び登記事項証明書(後見登記等に関するもの)
・発行済株式総数又は出資金額の5%以上を有する株主、出資者の住民票の写し及び登記事項証明書(後見登記等に関するもの)、株主・出資者が法人の場合は、登記簿の謄本

8.申請者が個人の場合

・「資産に関する調書」及び直前3年分の「(所得税)納税証明書」
・住民票の写し及び登記事項証明書(後見登記等に関するもの)

9.申請者が未成年者の場合、法定代理人の住民票の写し及び登記事項証明書(後見登記等に関するもの)

 

※「更新許可」の場合で、「新規許可」の時から「2」「3」「4」の内容に変更が無ければ、「2」「3」「4」の書類の提出は不要の場合がほとんどです。一部自治体は、省略不可の場合有り。

 

4.許可証の出来上がりを待ちます。

 役所でもっとも問題になりやすいのが、「事業計画概要書」「貸借対照表」「損益計算書」「納税証明書」の4つです。これらの書類に問題が無ければ、あとの添付書類に問題が発生することはほとんどありませんので、許可証の出来上がりを待つだけとなります。関係者が欠格要件に該当しない限り、書類上問題が無ければ、必ず許可されます。役所からの連絡を楽しみにお待ちください。

 

ただし、「積替え・保管を含む」収集運搬業の場合は、いきなり許可申請をしても、ほとんどの自治体が受け付けてくれません。「産業廃棄物処理施設の設置」や「産業廃棄物処分業」と同様に、事前協議を義務付けているところがほとんどです。

そのため、「積替え・保管を含む」収集運搬業の許可申請をする場合は、できるだけ早い段階で、「積替え・保管」を行う場所を所轄する自治体に、事前協議することが重要です。

事前協議が終われば、上で説明した申請書類を用意して、晴れて許可申請を行うことができます。

 

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