会社のためにやったことなのに…

vol.130 会社のためにやったことなのに…

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09/05/15号

 
 北海道乳業の従業員が、ヨーグルトの製造過程で発生する余剰シロップを安
く処分するため、農場経営者に対して農場にシロップを不法投棄させた容疑で、
逮捕されました。


 函館新聞
 http://www.ehako.com/news/news2008a/3951_index_msg.shtml


 その後、逮捕された従業員と農場経営者に対し、初公判で懲役刑が求刑され
ました。

  札幌テレビ ※ニュース映像を動画で見ることができます
 http://www.stv.ne.jp/news/streamingFlash/item/20090511192638/index.html

 裁判では、不法投棄実行者の他に、北海道乳業社に対し、1500万円の罰金が
求刑されています。


 北海道乳業が不法投棄を指示していたのか、それとも従業員が独断で不法投
棄を実行したのかはわかりませんが、いずれにせよ、廃棄物処理法には「両罰
規定」が存在しますので、使用者として北海道乳業に罰金が求刑されてもおか
しくありません。


 「不法投棄をしてけしからん会社だ」では
 何も学べませんので、この事件から学ぶべき教訓をご説明したいと思います。


 サラリーマンの方に注目していただきたい記述を、函館新聞から抜粋します。

「 取締役総務財務部長は『認識不足が招いた結果だが、組織ぐるみの関与は一
切ない。事件が起きたことは真摯に受け止め、二度とこのようなことがないよ
う再発防止に努めたい』と話していた。」


 不法投棄を指示した社員は、恐らく私利私欲を図るために不法投棄を考え付
いたわけではないと思われます。


 会社の利益を増やしたいという動機に基づき、廃棄物処理法の規定を軽視し
て、悪意無く不法投棄を実行してしまったのではないでしょうか。


 動機としては「会社のために」やったことなのに、会社からは「組織ぐるみ
の関与は一切ない=社員の個人的犯行」と、あっさり断罪されています。


 もちろん、会社としてはこう言わざるを得ないところですが

 もし、自分がその従業員と同じ立場で、同じ行為をすることを求められたら
と考えると、少しやりきれない気持ちになります。



  私はいつも講演の際に必ずこうお話しします。

「法律を学び、実務で違反をしないようにするのは、『会社のため』だけでは
なく、『皆さん自身の暮らしを守るため』でもあります」と


 法律を知らなかったで済ませてしまうと、いつ何時、自分自身とご家族の
暮らしが根底から崩れるかわかりません。


 今回の事件でも、自分のやっていることが「不法投棄の指示」に当たること
を知っていれば、これだけ大量にシロップを不法投棄することも無かったので
はないでしょうか。


 今回は、長期間、かつ大量にシロップを不法投棄し続けていたため、従業員
に対して2年6ヶ月という非常に重い懲役が求刑されています(不法投棄を実
行した農場経営者の1年8ヶ月よりも重い!)。


 最低限、自分がやっている仕事の内容に関する法律の規制を、熟知しておく
必要があります。


 法律を知っているか、知らないかだけでも、あなたとご家族の運命が変わり
ます。



 廃棄物処理法は、事業活動に密接に関連する法律であるにもかかわらず、


 その趣旨があまり理解されていない法律です。


 油断すると、マニフェストや契約書の不具合がすぐ発生し、不法投棄などの
不適切な処理に巻き込まれることだって考えられます。


 今回取り上げた北海道乳業の事件は、特殊な事例というわけではなく、
皆さんの会社でいつ起こってもおかしくない事件です。


 不況の影響が叫ばれ、コスト圧縮のプレッシャーが強まっている状況では
なおさらそうなのです。


 我が事に置き換えて考えてみてくださいね。