事業系廃棄物規制への対処方法

vol.136 事業系廃棄物規制への対処方法

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09/09/18号

 
 前回のメルマガでは、各地の市町村焼却場において、そこに持ち込まれる
事業系廃棄物の中に産業廃棄物が混入しないよう規制が強化されている こと
を解説いたしました。


 今回のメルマガでは、規制強化の是非ではなく、規制に現実的に対処してい
くための方法を解説いたします。



 市町村にあわせ産廃処理を中止された場合、その影響をもっとも強く感じる
のは、「処理費の値上がり」を実感したときです。


 生活系廃棄物とは違い、事業系廃棄物の場合は、ほとんどの自治体が処理
手数料を排出事業者から徴収しています。


 手数料を取られるとは言っても、通常の産業廃棄物処理経費と比べると、著
しく安いのが普通です。


 また、通常は、一般廃棄物収集運搬業者に毎月定額の委託費用を支払うだけ
で、市町村に直接廃棄物の処理費を払うケースはほとんどないと思います。


 そのため、
 それまでは一般廃棄物収集運搬業者との契約金額だけで、ほとんどの廃棄物
を処理できていたのに、今月からペットボトルの処理費が追加で必要になって
しまった!
 という事態になります。


 このように、市町村があわせ産廃処理を中止すると、事業者側の廃棄物処理
コストが確実に増加します。


 その増加コストをどうするかが、もっとも切実な問題と言えるでしょう。


 増加コストの吸収方法は色々とありますが、コスト削減の王道は
 「廃棄物の発生抑制」につきます。


 どんな会社でもできる発生抑制としては、
 「資源と廃棄物の適切な分別」があります。


 「適切」というところが味噌で、
 「廃棄物の性状ごとに15種類に分別しました!」といった、根気と労力が
必要な分別は、環境に優しいとしても、労働者や企業経営にとって優しくあり
ません。


 必要なことは、「資源」として通用する基準を把握し、その基準を満たす
方法で廃棄物(=資源)として分別保管をすることだけです。


 過度に分別しても、リサイクル先で再びまとめてリサイクルされるのであれ
ば、細かく分別する意味はありません。


 分別は、資源として流通させるための必要最小限度のレベルで結構です。


 最近は、リサイクル技術も進展し、資源の性状ごとに機械で自動的に選別す
ることも可能になりましたので、分別をそれほど細かくする必要はなくなって
きています。


 そのため、分別よりも、むしろ異物の混入を防ぐほうが、資源としての価値
が上がります。


 ペットボトルの場合なら、飲み残しや汚れがあると、資源としての価値が
なくなってしまいます。

 
 分別や、異物の混入防止措置なくして、廃棄物の発生抑制は有り得ません。


 上述した内容は、資源と廃棄物の分別に関してでしたが、
 「一般廃棄物」と「産業廃棄物」を適切に分別することも必要です。


 市町村があわせ産廃処理をしてくれていたときなら、廃プラスチック類が
ゴミ袋に多少混入していても、問題なく処理してもらえましたが


 あわせ産廃処理が中止された以上、そういうわけにもいかなくなります。


 一般廃棄物と産業廃棄物を分別するためには、産業廃棄物の具体的な定義
を知っておくことが不可欠です。

 ※産業廃棄物の定義と具体的な種類については、私のHPにも掲載してい
  ます。
 http://www.office-onoe.com/2/01sannpai.html


 産業廃棄物の中で特に注意が必要なのは、「紙くず」と「繊維くず」です。


 この2種類の産業廃棄物は、具体的な発生源の業種限定がされているため、
その業種にあてはまらない業種から出た廃棄物は、すべて産業廃棄物ではな
く、一般廃棄物になります。


 古紙などは既に分別している企業が多いと思いますが、雑巾などのぼろぎれ
は、たとえ事業活動によって発生した廃棄物であっても、一般廃棄物になりま
すので、産業廃棄物業者に処理委託することはできません。


 産業廃棄物の委託契約書を拝見すると、繊維くずが出るような業種ではない
のに、繊維くずの処理委託をしているため、事情を確認してみると、上記の
ように一般廃棄物を産業廃棄物として処理委託していることがよくあります。



 あわせ産廃処理が無くなっていく状況下では、今まで以上に分別の重要性が
高まっています。


 無理のない分別作業を構築すると同時に、産業廃棄物の委託契約におかしな
点がないかどうかも確認しておくと良いですね。